ひとくちに友人知人といっても、家族や兄弟姉妹同然の付き合いをしている親友から、年賀状をやり取りする程度のお付き合いの人もいます。故人とごく親しい間柄なら、訃報が届いた時点で、何はともあれ駆けつけ、遺族の意向を聞いたうえでお手伝いなどを申し出ます。故人とそれほど親しい間柄ではない場合は、訃報を知ってもすぐに駆けつける必要はなく、葬儀・告別式に参列します。
お通夜は、本来、遺族や近親者、故人と親しかった友人などが集まり別れを惜しむもの。亡くなった人とそれほど親しいお付き合いがない場合は、お通夜は遠慮したほうがよいでしょう。ただし、葬儀・告別式の日に出張などが重なってしまったときは、できるだけお通夜に参列するか、弔電を打つようにします。
訃報を知ったら、何をおいてもまず駆けつけるのが礼儀。だから服装はなんでもかまわない−−とはいうけれど、あまり派手な洋服やアクセサリーは考えもの。時間があればいったん帰宅して着替えましょう。基本は黒のスーツかワンピースですが、地味なものであれば黒でなくてもかまいません。ただし、濃いお化粧や派手なマニキュアは避け、貴金属のアクセサリーや指輪もはずします(結婚指輪ははずす必要はありません)。ネックレスは真珠の一連、イヤリングもできれば真珠にします。
披露宴に出席する際、靴やバッグといった小物類は、黒ければなんでもよいと思っていませんか。いくら黒くても、素材やデザインしだいでは、NGの場合もあるのです。また、お通夜と告別式でも、使えるものが変わってきます。基本的に、派手は装飾が施されているもの、光る素材のものなどは、悲しみの場面では避けるべきです。
ここでは一般的な仏式に則ったお通夜のマナーを解説します。訃報が届いたら、まず、故人とのお付き合いの程度を考え、お通夜に出席するかどうかを決めます。迷ったら会社の上司や総務担当者、父母や年長者と相談しましょう。ここでお通夜に出席することがきまったら、服装を整え通夜会場へ向かいます。お通夜はたいてい夜の6時か7時ごろ始まり1〜2時間で終わります。会場に着いたら受付で記帳をし、お香典を差し出します。このときお悔やみの言葉を述べるのですが、遺族や喪主がいない場合は、受付の人にお悔やみを言ってもマナー違反とはなりません。
お通夜は、まず僧侶の読経から始まります。そして、読経が終わると、喪主から順番にお焼香が始まり、その後、一般弔問客がお焼香をします。普通はお焼香が終わったらすぐに帰宅してもマナー違反とはなりません。このとき、喪家(亡くなった人の家)では「通夜ぶるまい」といって、お通夜に来てくれた人にお酒や食べ物をふるまいます。一般的にはこの通夜ぶるまいに招かれたら、一口でも料理に箸をつけるのが礼儀とされています。ただし、故人とあまり親しくなく、通夜ぶるまいは遠慮したほうがいいと思ったら、僧侶の退席に合わせて辞去します。いずれにしても、お通夜の席は早めに引き上げましょう。
御香典は、故人とのお付き合いの程度や自分の立場、年齢で変わってきますが、女性の場合、友人知人、その家族、隣近所、会社の同僚、同僚の家族などが亡くなったときは、だいたいの目安として3000円〜5000円を考えればいいでしょう。20代、30代ならば親族以外は5000円以下で充分です。なお、お通夜と葬儀・告別式の両方に出席する場合、御香典は二度出す必要はありません。
仏式では、普通「御香典」または「御香料」と表書きをします。また「御霊前」と書いても差し支えありません。ただし「御仏前」と書くのは四十九日の法要が済んでからにします。市販の不祝儀袋を使う場合は、水引の下の真ん中に薄墨で自分の名前を書きます。毛筆もしくは筆ペンを使い、ボールペンは避けます。
とかく難しいと思われがちなお焼香のマナーですが、実際にはそれほど堅苦しいマナーはありません。お焼香には大きく立礼と座礼の2種類があります。立礼は文字通り立ったままお焼香をします。方法は 1自分の番がきたら、次の人に軽く会釈をし祭壇の前に進みます。 2遺族と僧侶に一礼をします。 3祭壇に向かって一礼をし、右手3本の指で香をつまみ、指先を横にして額にいただきます。 4香をくべる(この動作を3度繰り返すこともあるので、迷ったら他の参会者を参考にします)。 5合掌ののち、遺族、僧侶に一礼をしてから席に戻ります。座礼も基本的な作法は立礼と同じですが、その場で正座をしたままお焼香をします。 1隣あるいは後ろから香炉が回ってきますので、香をつまみ額の高さにいただき香炉にくべます。 2祭壇に向かって合掌します。 3香炉を次の人に回します。
くどいようですが結婚披露宴などと違い、招待状がなくて当たり前の通夜、葬儀、告別式。参列するかどうかは、故人との関係を考え自分で判断します。葬儀・告別式を同じものと考えがちですが、本来、葬儀とは遺族や近親者、ごく親しかった人のみで故人を葬る行事で、告別式とは違うものです。ですから、故人とそれほど親しくない場合は通常、告別式にのみ参列します。告別式に参列するときの服装は、お通夜のときと同じく黒または地味なワンピース、スーツなどがよいでしょう。アクセサリーやお化粧についてもお通夜に準じます。
遺族や近親者による葬儀が終了すると、遺族の焼香に続いて、一般会葬者の焼香が始まります。お焼香の作法はお通夜の項を参考にしてください。お焼香が終わり僧侶が退出すると、遺族代表の挨拶があり、出棺となります。霊柩車を見送るときは合掌し、故人の冥福を祈ります。