LADYWEB講座|Lady's Clinic

ドクター河村のレディース・クリニック


質問 現在、妊娠中ですが、喫煙がやめられません
26歳の主婦です。現在妊娠3か月ですが、妊娠前から習慣となってしまっている喫煙がやめられません。妊娠中の喫煙による害はどのようなものがありますか。友人は、喫煙しながら元気な赤ちゃんを生んでいるので、つい大丈夫かなと思ってしまうのですが。(群馬県・M美)


回答 妊娠中の喫煙は、赤ちゃんに明らかに害を及ぼします。節煙より禁煙が必要です
2001年に行われた厚生労働省の研究班による調査では、妊娠してからも喫煙していた女性は、8.4%であったと報告されています。日本では、妊娠しても10人に1人以下ながら、禁煙できない女性がいることになります。

妊娠中の喫煙でもっとも問題になるのは、赤ちゃんの子宮内での発育が遅れることです。結果として、母が喫煙していると、生まれてくる赤ちゃんの体重は、明らかに少なくなります。流産、早産や死産を起こしてしまう確率も、喫煙している女性では、1.5倍に上昇します。また、胎盤の位置の異常や、妊娠中に胎盤が子宮からはがれて母児ともに生命の危険にさらされる確率も、2倍以上になると言われています。

タバコの煙には、多数の有害物質が含まれていますが、その中には、胎児への直接的な毒性を持つものの他に、血管を収縮させる物質(特にニコチン)があり、そのために胎児への血液の流れが悪くなります。また、タバコの煙の中の一酸化炭素は、赤ちゃんへの酸素の運搬を減少させてしまいます。これらの作用により、妊娠中の異常が生じやすくなり、胎児の子宮内での発育が遅れ、出生時の体重が少なくなります。

喫煙本数が多くなるほど、赤ちゃんの子宮内での発育は遅れます。喫煙女性全体では、喫煙しない女性に比べて赤ちゃんの出生時体重は、約200g軽くなり、1日に1箱以上喫煙する女性の赤ちゃんでは、約450gも小さく生まれてしまうと言われています。早産率も喫煙本数が多いほど、高くなることがわかっています。妊娠中に、1日に1、2本しかタバコを吸わない女性ですら、赤ちゃんの出生時体重は少なくなります。本人が喫煙する場合のみならず、職場や家庭での他人や夫のタバコの煙をいやおうなく吸わされてしまう受動喫煙も問題です。

大切な赤ちゃんを守るためにも、ご本人の健康のためにも、妊娠中や出産後に上記のようなことが起きて後悔する前に、できれば妊娠前から禁煙し、当然ながら妊娠中の喫煙は慎むべきでしょう。また、母体と赤ちゃんが受動喫煙の被害に会わないように、特に夫の協力も必要です。(2004.6.26)




マダム路子Photo 田園都市レディースクリニック 河村寿宏院長 プロフィール
昭和61年、東京医科歯科大学医学部卒。その後、東京医科歯科大学医学部付属病院、都立大塚病院等に勤務する。平成4年にデンマーク・コペンハーゲン大学へ留学。平成7年東京医科歯科大学産婦人科病棟医長。賛育会病院、日産厚生会玉川病院産婦人科医長(不妊専門外来担当)を経て、平成12年横浜市青葉区に、田園都市レディースクリニックを開院。現在に至る。

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