2003年の流行語大賞まちがいなし! なんていわれているのが、ご存じ“毒まんじゅう”。実際に毒まんじゅうを食べたのか、食べなかったのか、われわれ庶民にはわかるはずもないけれど、政治の中心地・永田町はすっかり選挙モード。前回2000年の総選挙で落選した元センセイたちにとっては、長かった浪人生活とサヨナラできるチャンス。そしてスキャンダルを起こしたセンセイたちは首のあたりがスースーしたりして……。というわけで今回は選挙の雑学を並べてみました。




選挙に立候補するには供託金が必要って知ってた?

誰でも一定の年齢になれば国政選挙に立候補できるとはいっても、一つの選挙区に100人もの人が立候補したら大変なことになってしまいます。そこで、泡沫候補(ほとんど当選が期待できないアワのような候補者のこと)やミニ政党からの立候補者の乱立を防止するため「供託金」という制度が設けられています。

たとえば衆議院議員選挙ならば、納付する金額は比例代表選出議員ひとりについて600万円、小選挙区選出議員はひとり300万円と決まっています。そして、選挙の結果、獲得した票数が有効投票の10分の1に達しないときは全額、没収されてしまいます。お金のない候補者や政党からは厳しすぎる、との意見もありますが、泡沫候補の乱立を防ぐためには仕方のない制度といえます。


選挙運動って何をしてもいい?

選挙運動には「やっていいこと」と「やってはいけないこと」「やってもいい期間」などが、公職選挙法という法律でこまかく決められています。衆議院議員選挙の場合、選挙運動をしてもいい、と決められているのは12日間(参議院選挙は17日)。そして、認められている選挙運動には、個人演説会、街頭演説、連呼行為(選挙カーから大声で自分の名前を連呼すること)の他、テレビやラジオを使った政見放送や経歴放送、電話による選挙運動などがあります。また、ハガキやビラ、新聞広告、選挙公報の配付が認められています。

これ以外にも、候補者のポスター、候補者がかけるタスキ、事務所の看板、選挙カーに取り付ける看板やポスターなども認められています。ただし、これらは使っていい金額や配付方法などはすべて法律で厳密に規定されています。こうした決まり事を守らないときは選挙違反として罰せられます。


候補者のポスターは自費でつくる?

選挙を公正・公平に行うため、国や地方公共団体が選挙費用の費用を負担する制度があります。これを選挙公営といいます。具体的には、選挙運動用のハガキを無料で交付。選挙運動用のビラ、個人演説会の告知ポスター、選挙運動用のポスターの無料作成などがあります。また、新聞広告、ラジオ・テレビによる政見放送や経歴放送、選挙運動用ポスターの掲示場の設置、個人演説会のための公営施設の使用、選挙公報の発行など、すべてを無料で提供しています。



選挙管理委員会って何をするところ?

選挙には付きもの「選挙管理委員会」。実際には何をしているのでしょう。選挙管理委員会、略して“選管”には「中央選挙管理委員会」「都道府県選挙管理委員会」「市町村選挙管理委員会」「特別区選挙管理委員会」などがあります。選管のおもな仕事は選挙に関するもろもろの事務を管理することで、たとえば投票所の指定や選挙人名簿(有権者の氏名、住所、性別、生年月日を記した名簿)の登録簿の作成などがあります。


投票所で監視している人たちは誰?

投票立会人といい、投票が公正に行われているかどうかを監視しています。各投票区の選挙人名簿に登録されている人の中から選ばれた普通の人たちで、候補者は選ばれることはありません。ようするに近所のおじさん、おばさんというわけです。また、一投票所あたり2人以上5人以下と決まっていて、一日あたり1万500円の報酬が支払われます。


開票で無効になるのはどんな票?

所定の条件を満たさない投票は「無効票」となりカウントされません。で、どんな投票が無効になるかというと、当然のことだけど決められた投票用紙を使っていないもの。自分で勝手に投票用紙をつくったりしてはいけません。その他、候補者以外の名前を書いたもの、投票用紙に2名以上の候補者の名前を書いたもの、候補者の名前以外のことを書いたもの、候補者の名前を書いていないもの、どの候補者の名前を書いたのかわからないもの……などなど、すべて無効票になってしまいます。



テレビやラジオの選挙速報で当選確実や当選はどうやって出す?

開票が始まってものの1分もしないうちに“○×県2区・何野誰夫当選確実”なんて速報が出たりしますよね。でも、あれっていかにも早すぎると思いませんか? なぜ開票率1%にも満たないのに当確が出るのでしょう。その仕組みはこうです。実はテレビ局、ラジオ局、新聞社などのメディア各社は、投票日までにかなりのデータを集めていて、ほぼ票読みはできているようです。

具体的には過去の選挙データや支持率の調査、投票率などに加え、出口調査といって投票所で具体的にどの候補に投票したか、どの政党に投票したかなどを調査し、それらを総合的にコンピュータが判断、当確などを出すようです。ただし、大都市では浮動票が多く、その行方次第では大物が落選したり、ずぶの素人が当選したりすることも多く、ほぼ100%近い開票率でもまだ当確が出せないことも珍しくないようです。

もうすぐ日本列島は選挙一色。大事な一票、大切に使いましょう。

(2003.10.7 取材/金子保知)