海外カジノで最もポピュラーなゲームのひとつ、スロットマシンを発明したのは、サンフランシスコに住むチャールズ・フェイさんという人物だそうである。カウンターバーの常連だったフェイさんは、お酒を飲みながらひとり遊びができるものは……と考えた結果、ダイス遊びの機械化、現在のスロットマシンを思いついたという。

そして、最初のスロットマシンのモデルがサンフランシスコのバーの片隅に登場したのは1895年。お客がコインを入れてレバーを引くと、マシンの中のドラムが回転し、しばらくすると停止する。小窓の中に鐘の絵が3つ横に並ぶと当たりで、「ジャンジャンジャン」とハデな鐘の音と同時にコインが10枚転がり出てくる仕組みだった。マシンゲームなど、ほとんど見たこともなかった当時、この機械は大変な人気を呼んだ。小窓の絵や、当たりのときの音から『自由の鐘』と呼ばれ、親しまれたという。

 

現在のスロットマシンは小さなコンピュータ
 

約100年経った現在のスロットマシンは、フェイ氏がつくった1号機に比べるとかなり様変わりしている。

姿形は似せているものの、ボディの中はIC基板が組み込まれたハイテクゲームマシンで、フェイ氏の1号機とはまったく別の物である。小窓の中の回転や絵の並びは、コンピュータが制御し、一定の確率で中当たりやジャックポット(大当たり)が出るように設定されている。

操作が簡単で、手持ちのコインで遊べるスロットマシンは、初めてカジノに足を踏み入れた観光客や、ふだんギャンブルをやらない人には、とっつきやすいゲームかもしれない。ルールが難しそうなルーレットやブラックジャック、バカラに比べ、ギャンブル性が低く素人にも儲かりそうなイメージがある。だけど、実はそれは大きな間違いなのだ。

 

 

スロットマシンには手を出さないプロたち

20ドル札を25セントコイン80枚に両替し、軽い気分でスロットマシンの前に。何回かは、小当たり、中当たりが出ていっときコインが溜まることもあるが、そのまま続けていたら結局スッてしまった。「どうせ小銭だし、ま、いいか」……だいたいこんなパターンではないだろうか。

この「どうせ小銭だし……」が曲者で、積もり積もれば莫大な金額となる。実際、アメリカのカジノでは、スロットマシンの売り上げが総売り上げの7割強という。カジノにとっての大きな収入源ということは、それだけお客にとって、儲かりにくいゲームということである。

スロットマシンをやる人は多いけれど、せいぜい当てて小当たり。噂に聞くジャックポットは何千分の一、何万分の一で、まず出ないと思ったほうがいいだろう。世界各国のカジノを転戦して歩いている、いわゆるカジノプロに聞くと、「スロットは儲からないよ。カジノにある機械は、中身がいじられててギャンブル性が高いし。もちろん、必勝法がなくはないけど、よほどマシンの構造に通じてないとね。素人さんには無理無理!」と、言う。

ここでいうカジノプロとは、一か八かの大勝負をするギャンブラーではない。安全性の高い、確実に稼ぎを重ねていける勝負方法を探すギャンブラーたちで、ひとつひとつの勝負には「生活」と「プライド」がかかっている。そういう彼らたちに言わせると、カードゲームやルーレットはやっても、スロットマシンには絶対に手を出さないという。

 

ラスベガス・ドリームはスロットマシンが生む

そう言われても、やはり一攫千金を狙えるスロットマシンは魅力がある。どこのカジノにも「歴史に残る幸運な客」の伝説があるが、ほとんどがスロットマシンにまつわるものだ。

1979年、100ドル弱の元手で29万ドル(当時のレートで6000万円)のジャックポットを当てた日本の歌手、田端義夫さんのラスベガス・ドリームは、いまだに語り継がれている。カジノに足を踏み入れるなら、いっときそんな夢を見るのもいいかもしれない。

 

 

スロットマシンの台選びのコツとは?

「ここだけの話ですけど、スロットマシンで勝率を上げようと思うなら、台を置いてある場所を選ぶこことですよ」
どうしても攻略法を教えてほしい、と食い下がる私に、ラスベガスのあるピットボスが、そんな内緒の話を教えてくれた。違法なので公にはできないが、やはり中当たり、大当たりが出やすいようにIC基板に手を加えた台があるらしい。そしてそれは、ロビー横とか、玄関の前とか、必ず人通りが多くて目立つ場所に置いてあるというのだ。

「逆に、通路の途中とか柱の陰に置いてなるような台は避けたほうがいいんです。そういう台は、税務署の査察が入ったときに引っ込めちゃったりする調整用の台ですから、まず儲からないと思っていいでしょう」と、ピットボス。玄関から見える所や人通りが多い場所の台を選ぶ……。

そういえば、日本のパチンコにも、台選びのコツとしてそんな伝説があったような気がしたけれど……。