どこの国のカジノにも、それぞれサイテーな話はある。たとえば少し前のモスクワ。カジノ開発途上国だから、スロットマシンはあっても、コインを数える機械がない。うっかり大勝ちして両替所に持っていこうものなら大変。何千枚ものコインをキャッシャーが一枚一枚手で数えるので、気が遠くなるほど待たされるのだ。モスクワのカジノは、一事が万事そのレベル。不備なところを上げていけばキリがない。

 

カジノはいいが、周囲の環境?が悪いモナコ
 

さらにサイテーなカジノがあるのは、韓国。この国では、持ち込んだ以上のお金を国外に持ち出せない。つまりカジノで勝っても、日本に持って帰れない仕組み。勝って浮いた分は、韓国にいるあいだに使うしかない。このことを知らないで、たまたま韓国のカジノで大勝ちし、両替所に行った私のショックは、計り知れないものがあった。

サイテーといえば、モナコだって負けちゃいない。国立カジノは美術品のごとく立派な建物で、エレガントなカジノの雰囲気はほめてやりたい。だが、周りの環境が悪過ぎる。周辺のホテルの値段がバカ高いのだ。

国立カジノの真ん前のホテルは、ふつうのツインの部屋で、一泊7万から8万。おまけに私の場合、カジノでスッてしまったから、その後の旅費のやりくりが大変だった。この恨みは一生忘れられない。

モナコはホテルに限らず、観光客が訪れるようなレストランも全般高く、カジノで負けなくても一週間もいれば、誰でもビンボーになってしまう。モナコに行ったものの「こんな物価の高い土地にはいられない!」と、サッサとイタリアに逃げ出した私だった。

 

マカオのカジノは朝の通勤列車並みの混雑

こっちもヤダ、あっちもサイテーと、グチを言い出せばキリがない。世界中のカジノを歩いたわけじゃないので、そうそう偉そうなことは言えないが「世界でいちばんサイテー」を選ぶとしたら、私は迷わずマカオ!をあげる。

香港からジェットフェリーで約一時間の距離のマカオには、全部で7、8軒のカジノがある。人気があるのは、水上に浮かぶ公営カジノとして有名なマカオパレス、東洋一の規模を誇るリスボアカジノ、フェリーポートのすぐ近くにあるハイアライスタジアムで、マカオに旅行する人は、ほとんどこの3か所のどこかを訪ねるようだ。

だが、これからマカオのカジノを訪ねようという人は、特にこの3か所だけは避けたほうがよい。なぜなら、この3か所は365日、いつも満員御礼スシ詰め状態で、サイテーのゲーム環境だからだ。

怒声や嬌声が飛び交う中、通勤ラッシュのような人込みをかき分け、やっとの思いでブラックジャックのテーブルに座れたとしても、自分の意志でゲームを進めることはまずできない。

というのも、人が多いせいで、自分の前にあるポストは2〜3人での共同使用。しかもカードを引くか引かないかの権利は、一番たくさんチップを置いた人に持っていかれてしまう。もちろん、自分でポストの権利を一人占めすることも可能なのだが、そのためには、自分のポストに限界いっぱいの金額を張らないとならない。

ほとんどの人がそんな資金を持ってるはずもない。持ってたとしても続かない。結果、何人かでの共同使用ということになってしまうのである。もともとマカオカジノのハウスルールは、客にとってとても不利。に、加え、ポストの共同使用となれば、勝つ確率がグ〜ンと低くなる。

  

 

よくもここまで揃った「最悪カジノ」の条件

そして、マカオで最も許せないのは、「勝手にチップ」システムである。

これは、客が少し勝ち、手元にチップがたまったな、と思われるころ、ディーラーが勝手ににチップを持っていくシステムである。突然に、客に断りもなく、しかも「ありがとう」のセリフもく、笑顔のひとつも見せず......チップを持ってゆくのである。

「チップをあげるほど、勝たせてもらってないだろう!」と、怒鳴りたくなるのは、私ひとりではあるまい。マカオのカジノに行った人は、たいていこの「勝手にチップ」システムにムッとするようである。

マカオのカジノは、ピットボスもディーラーも思い切り無愛想で、サービス精神ゼロ。勝っている客に対しては、ケンカ腰で接し、勝手にチップを持ってゆく。世界を見回しても、これほど感じの悪いカジノは見当たらない。

混雑でゲームができない! ルールがキツい! ディーラーの態度が悪い! と三拍子そろったマカオのカジノは、まったくサイテーである。だが、そんなマカオに腹立てながらも、性懲りもなく、ちょくちょく出かけてゆく私は、もっとサイテーかも......しれない。