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「今度こそ黒が出るさ! ここで後には引けないよ!」
そのテーブルでは、赤の目が連続14回出ており、夫のほうが黒に賭け続けていたため、有り金のほとんどをスッてしまっていたのだった。
負け続けてすっかり熱くなってしまった夫は、後ろでいくら妻が泣こうが叫ぼうが止まらない。サイフの中からありったけの100
ドル札の束を出すと、叩きつけるように黒の目に置いた。
だが、結果は無残だった。15回目も赤の目。全財産を失った夫は、言葉を失ったまま立ち尽くし、やがて野次馬たちが見守るなか、泣き叫ぶ妻の手を引き、肩を落としてカジノから去っていった。
ルーレットの女性ディーラーは、この勝負の間じゅう至って冷静な表情で、淡々と球を投げていた。また勝負が終わった後も、表情ひとつ変えず、夫婦の行く末などまったく気にしていないようだった。
この夫婦のように、確率論にしたがってルーレットをやる人は多い。たとえば、「赤の目が続けて出たから、次は黒の目だ」「26がずっと出てないから、そろそろ出るぞ」といった賭け方である。
この方法はルーレットのセオリーとして定着し、必勝法のように考えている人も多い。だが、実はルーレットの目は、ディーラーが自在に狙えるのだと知ったら、あなたはどう思うだろうか。
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