10月に入り、衣替えの季節になった。
洋服が大好きな私にとって、秋から冬にかけては、実にワクワクする季節だ。
デザインに凝ったカットソーや、編み地の素敵なニット、仕立てのいいジャケット……春夏よりも選択肢が増え、素材も幅広い。重ね着をするので、コーディネイトの楽しさもある。特に私は、ニットやジャケット、スーツが大好きなので、夏の間に着倒した半袖のTシャツやチュニックをさっさと片付け、秋本番へまっしぐらだ。
しかし、毎年この季節になると、ちょっと憂鬱になることがある。
知らない間に増えていく、洋服の数と、その収納の問題である。いつの間にやらぎゅうぎゅう詰めになったクローゼット。一人暮しにしては、収納スペースはかなり豊富なはずなのだが、それでも満杯状態だ。
クローゼットの中にハンガーがくっつき合うように並んでいるので、ジャケットの衿の角が、変な角度に折れてしまっていたり、ひどいと、肩がずれて型くずれ寸前。カーディガンに至っては、知らない間にハンガーからずり落ちて、クローゼットの下に、見るも無惨な形でへたり込んでいることもある。
それを防ぐため、カーディガン類は、ジャケットやコートの上に羽織るような感じで掛ける、という裏技を使ってみたが、重ね掛けは、今度は出し入れがいちいち面倒くさい。
カットソーやニットが変な形で掛かっていたために、ニットがデレ〜ンと伸びてしまうなんてことは日常茶飯事である。肩にぷっくりとハンガーの角の形が付いてしまった……なんて経験は、みなさんもお持ちでしょう? いざ着ようと思ってハンガーから外して「ゲッ!」……時既に遅し、である。
プックリ盛り上がったハンガーの跡に霧吹きをして揉み、ドライヤーで慌てて乾かしてなんとか応急処置をしたなんてことが何回もある。
我ながらホントに呆れる。自己嫌悪〜〜。
ああ、10畳ぐらいの馬鹿でかいウォーキングクローゼットが欲しいわあ……と、スペースのせいにしてみたりするが、もしそんなクローゼットがあったとしても、きっとそんなに改善されないだろうということは、自分がよくわかっているのだ。そう、ハッキリ言って、モノをため込む性格と、ずさんな管理のせいなのだ! う〜ん、ナントカせねば……。
そんな私に、救世主が現れた!
ドイツのハンガー専門のメーカーMAWA社製の、その名も「マワハンガー」である。
このハンガー、見た目は普通の日本製のハンガーと、どこと言って変わりない……というよりむしろ、ただの丸いカーブを描いたすっごいシンプルなただの針金ハンガーに見える。値段だって、1本¥350とリーズナブル。
しか〜し!
よく見てください、この形。まず、このカーブが素晴らしいのだ。
これまで、ニットやカットソーの肩のプックリ出っ張りを回避するために、肩のところが分厚くなったものや、肩幅を調節できるものなど、ありとあらゆるハンガーを試し、その度に期待を裏切られてきた苦い経験を持つ私は、これを見つけたとき、心の底から感動してしまった。このカーブなら、例えTシャツをかけてもハンガー跡は残らないだろう。たぶん、この絶妙のアーチにたどり着くまでに、ドイツの頑固なハンガー職人さん(という職業があるかどうかは知らないが)が、何度も試行錯誤を繰り返したのだろうなあと、思わず勝手に妄想してしまうくらい、背景に人間くさいストーリーを感じる形状ではありませんか。
しかも、しかも、このアーチの部分は、全体的にシリコンのような、ちょっと粘着質の特殊プラスチック樹脂でコーティングされていて、掛けた衣類が滑らないようになっているのですよ。
日本にも、肩の部分に滑り止めのシールが貼ってあるものや、布製のものなど、滑り落ちないということを謳ったものはいろいろあるが、そのどれもが幼稚園の工作に思えるくらい、これは完璧に滑り落ちない。キャミソールの細い肩紐だって落ちないんだから。
この完璧なる滑り止めコーティングにより、肩がずり落ちないどころか、例えばニット全体の重みで、だんだん肩のあたりが伸びてしまうという問題や、傾いてかけるとずれてくるという問題まであっさり解決されてしまう。きれいに形を整えて掛ければ、そのままびくともしないのだ。
ハンガーの厚みはたったの1センチ。余計な出っ張りもないから占める面積も少なくすみ、ニットやカットソー、ワンピース、シャツなどは、ものすごくたくさん掛けられる、というところも嬉しいではないか。
このMAWA社、戦後間もない1948年にたった3〜4人で、家庭用品メーカーとしてスタートをしたらしい。1956年にこの特殊プラスチック樹脂でコーティングした「滑らないハンガー」を考案して大ヒット。以降、ハンガー一筋に開発と改良を重ね、今では、ミュンヘン近郊のカッフェン・フォーヘンに大きな自社工場を置き、従業員も200人という大躍進を遂げている。
社長のミヒャエル・シェンク女史が、自ら商品の説明や工場を案内しているPVがあるのだが、すべての部品が自社製造で、なおかつ、特許をとったオリジナルの機械による確かな商品づくりは、感動モノ。100%Made in Germanyで、品質管理に至るまで、誇るべきは「ドイツ的な確実性です」と、笑顔で語っている。
ハンガーの命であるスチールの部分は、耐久力と強靱性を保つために、ドイツ製の低温圧延処理スチールのみを使用しており、コーティング剤も、ドイツの化学品規制に基づいた無臭で危険性のないものを使用しているという。たかがハンガーに、これだけこだわってきたからこそ、今の成功があるのだろう。
このアーチ型の他に、ジャケット用や、スカートも一緒に掛けられるもの、パンツ用などなんと946種類ものハンガーがあり、特に、1972年に登場した、パンツの裾を挟んで吊すスタイルのハンガーは、ダントツの人気を誇り、今でもMAWA社のベストセラーなんだそうだ。
機能性を追求すると、形はシンプルになるというが、まさにシンプルそのもののこのハンガー。手にしたときの程よい重さに、確かな存在感があり、う〜ん、さすがドイツ!
しかし、このハンガーを手にするとつくづく思う。この潔いほどのシンプルさからいちばん反省しなければならないのは、無駄にモノを増やしすぎるこの性格ですな。
秋の夜長、クローゼットの大掃除といきますか!
『マワハンガー』が買えるショップ
http://www.rakuten.ne.jp/gold/tamatoshi/mawalineup.html
洋服が大好きな私にとって、秋から冬にかけては、実にワクワクする季節だ。
デザインに凝ったカットソーや、編み地の素敵なニット、仕立てのいいジャケット……春夏よりも選択肢が増え、素材も幅広い。重ね着をするので、コーディネイトの楽しさもある。特に私は、ニットやジャケット、スーツが大好きなので、夏の間に着倒した半袖のTシャツやチュニックをさっさと片付け、秋本番へまっしぐらだ。
しかし、毎年この季節になると、ちょっと憂鬱になることがある。
知らない間に増えていく、洋服の数と、その収納の問題である。いつの間にやらぎゅうぎゅう詰めになったクローゼット。一人暮しにしては、収納スペースはかなり豊富なはずなのだが、それでも満杯状態だ。
クローゼットの中にハンガーがくっつき合うように並んでいるので、ジャケットの衿の角が、変な角度に折れてしまっていたり、ひどいと、肩がずれて型くずれ寸前。カーディガンに至っては、知らない間にハンガーからずり落ちて、クローゼットの下に、見るも無惨な形でへたり込んでいることもある。
それを防ぐため、カーディガン類は、ジャケットやコートの上に羽織るような感じで掛ける、という裏技を使ってみたが、重ね掛けは、今度は出し入れがいちいち面倒くさい。
カットソーやニットが変な形で掛かっていたために、ニットがデレ〜ンと伸びてしまうなんてことは日常茶飯事である。肩にぷっくりとハンガーの角の形が付いてしまった……なんて経験は、みなさんもお持ちでしょう? いざ着ようと思ってハンガーから外して「ゲッ!」……時既に遅し、である。
プックリ盛り上がったハンガーの跡に霧吹きをして揉み、ドライヤーで慌てて乾かしてなんとか応急処置をしたなんてことが何回もある。
我ながらホントに呆れる。自己嫌悪〜〜。
ああ、10畳ぐらいの馬鹿でかいウォーキングクローゼットが欲しいわあ……と、スペースのせいにしてみたりするが、もしそんなクローゼットがあったとしても、きっとそんなに改善されないだろうということは、自分がよくわかっているのだ。そう、ハッキリ言って、モノをため込む性格と、ずさんな管理のせいなのだ! う〜ん、ナントカせねば……。
そんな私に、救世主が現れた!
ドイツのハンガー専門のメーカーMAWA社製の、その名も「マワハンガー」である。
どうです、このシンプルな形状。しかし、細部にこだわりがあるんですよ。
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しか〜し!
よく見てください、この形。まず、このカーブが素晴らしいのだ。
これまで、ニットやカットソーの肩のプックリ出っ張りを回避するために、肩のところが分厚くなったものや、肩幅を調節できるものなど、ありとあらゆるハンガーを試し、その度に期待を裏切られてきた苦い経験を持つ私は、これを見つけたとき、心の底から感動してしまった。このカーブなら、例えTシャツをかけてもハンガー跡は残らないだろう。たぶん、この絶妙のアーチにたどり着くまでに、ドイツの頑固なハンガー職人さん(という職業があるかどうかは知らないが)が、何度も試行錯誤を繰り返したのだろうなあと、思わず勝手に妄想してしまうくらい、背景に人間くさいストーリーを感じる形状ではありませんか。
しかも、しかも、このアーチの部分は、全体的にシリコンのような、ちょっと粘着質の特殊プラスチック樹脂でコーティングされていて、掛けた衣類が滑らないようになっているのですよ。
日本にも、肩の部分に滑り止めのシールが貼ってあるものや、布製のものなど、滑り落ちないということを謳ったものはいろいろあるが、そのどれもが幼稚園の工作に思えるくらい、これは完璧に滑り落ちない。キャミソールの細い肩紐だって落ちないんだから。
カットソーのワンピースを普通のハンガーと掛け比べてみました。左が『MAWAハンガー』。一目瞭然でしょ?
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ハンガーの厚みはたったの1センチ。余計な出っ張りもないから占める面積も少なくすみ、ニットやカットソー、ワンピース、シャツなどは、ものすごくたくさん掛けられる、というところも嬉しいではないか。
このMAWA社、戦後間もない1948年にたった3〜4人で、家庭用品メーカーとしてスタートをしたらしい。1956年にこの特殊プラスチック樹脂でコーティングした「滑らないハンガー」を考案して大ヒット。以降、ハンガー一筋に開発と改良を重ね、今では、ミュンヘン近郊のカッフェン・フォーヘンに大きな自社工場を置き、従業員も200人という大躍進を遂げている。
社長のミヒャエル・シェンク女史が、自ら商品の説明や工場を案内しているPVがあるのだが、すべての部品が自社製造で、なおかつ、特許をとったオリジナルの機械による確かな商品づくりは、感動モノ。100%Made in Germanyで、品質管理に至るまで、誇るべきは「ドイツ的な確実性です」と、笑顔で語っている。
ハンガーの命であるスチールの部分は、耐久力と強靱性を保つために、ドイツ製の低温圧延処理スチールのみを使用しており、コーティング剤も、ドイツの化学品規制に基づいた無臭で危険性のないものを使用しているという。たかがハンガーに、これだけこだわってきたからこそ、今の成功があるのだろう。
このアーチ型の他に、ジャケット用や、スカートも一緒に掛けられるもの、パンツ用などなんと946種類ものハンガーがあり、特に、1972年に登場した、パンツの裾を挟んで吊すスタイルのハンガーは、ダントツの人気を誇り、今でもMAWA社のベストセラーなんだそうだ。
機能性を追求すると、形はシンプルになるというが、まさにシンプルそのもののこのハンガー。手にしたときの程よい重さに、確かな存在感があり、う〜ん、さすがドイツ!
しかし、このハンガーを手にするとつくづく思う。この潔いほどのシンプルさからいちばん反省しなければならないのは、無駄にモノを増やしすぎるこの性格ですな。
秋の夜長、クローゼットの大掃除といきますか!
『マワハンガー』が買えるショップ
http://www.rakuten.ne.jp/gold/tamatoshi/mawalineup.html