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3回めの堕胎で、どんな危険があるか教えてください |
現在私は34歳で、ある設計会社に勤務しています。2年間お付き合いしている恋人がいますが、今のところ仕事がおもしろく、当分結婚する予定はありません。ところが最近、生理が遅れているので市販のチェッカーで調べたところ、妊娠が判明しました。まだ結婚はしたくないので、堕胎を考えたのですが、実は今までに2回も子どもをおろしているのです。自分の不注意もあるのですが、どうやら妊娠しやすい体みたいです。自分のわがままをいえば、今回もおろしたいのですが、さすがに今の年齢を考えると、将来のことが不安です。子どもが生めない体になるのではないか、手術そのものが体をいためるのではないかなどなど……。わがままなお願いだとはわかっていますが、3回めの堕胎で、どんな危険があるか教えてください。(K.M・34歳・独身・会社員・神戸)
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子どもをおろすことの意味を、もう一度よく考えてみてください |
Mさんには、まず堕胎の意味と重みを、もう一度お考えになっていただきたいと思います。
胎児といえども人間であり、しかもそれはMさんと血のつながった生命です。堕胎はその何よりも尊いはずの命を、闇に葬る行為です。「仕事がおもしろく」「まだ結婚したくない」だから、わが子を闇に葬ることもやむを得ない、という発想も、自分の体だけは心配という考えも、かなり身勝手だと思います。34歳にもなられ、すでに2回も堕胎しているMさんの場合は、中学生が間違って妊娠してしまったのとは、わけが違います。
さて、医学的には繰り返す人工妊娠中絶が、必ず危険を伴うわけではありませんが、繰り返す手術による子宮内膜の損傷で、子宮腔が癒着することがあり得ます。また、感染を引き起こして卵管の閉塞や、狭窄、腹腔内の癒着を生じる可能性があります。いずれも頻度は低い合併症ですが、起きてしまうと高率に将来の不妊症につながります。
これまでは、「妊娠しやすい体みたい」とのことですが、数年後には、子どもが欲しくてもできにくい年齢になってしまうことも確かです。産む、産まないは確かに個人の自由です。「仕事」も大切かもしれません。しかし、堕胎の前に上記のこともお考えいただいて、今後のことを決定されてはいかがでしょうか。
用語解説
堕胎(だたい)=子どもをおろすこと
閉塞(へいそく)=ふさがること
狭窄(きょうさく)=せまくなること
癒着(ゆちゃく)=くっつくこと |
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