帯下(こしけ:いわゆる「オリモノ」のこと)の量は個人差があり、また月経周期によっても、量や性状が変化します。帯下が多い場合でも、必ずしも病気とは限りませんが、病的な帯下の原因としては、カンジダ(カビの一種)、雑菌、クラミジア、トリコモナス(原虫の一種)、淋菌などがあります。頻度的には、前三者が多く、後三者は、通常性行為を介して感染します。
なかでも特によく認められるカンジダ性膣外陰炎は、白色帯下(特に増えるとヨーグルト状)と、外陰部、膣の痒みが特徴で、時に細菌感染を併発して黄色〜黄緑色を帯びることもあります。雑菌、淋菌が原因の膣炎では、黄色膿様の帯下をみることが多く、トリコモナスによる膣炎は膿様で泡沫状の帯下と痒みが特徴です。クラミジア感染は無症状のことが多いのですが、水っぽいあるいは膿様の帯下の増加や下腹部痛で見つかることもあります。
いずれの病気も、それぞれの病原体に応じた薬(膣錠または内服薬)により治ります。時に、帯下の原因が、子宮膣部びらんや子宮頚管ポリープの炎症によることがあり、また稀に、子宮癌により帯下が増加することもあります。
S子さんの場合、黄色がかった帯下が増加しているということから、上記にあげたいずれかの病原体による膣炎を疑います。自己の免疫力で自然に治ることもありますが、原因によっては早期の治療が望ましいものもありますので、早めに婦人科を受診して検査・治療をされることをおすすめいたします。 |