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ピルは避妊方法として優れていますか? 副作用とかはありますか? |
付き合っている彼との避妊について、ご相談があります。今の彼とは、セックスの際、コンドームを使って避妊しています。コンドームで本当に完全な避妊ができるのか、不安になることがあります。友人が最近、ピルを使って避妊を始めました。ピルのほうが避妊効果が高く、また最近副作用の少ない低用量ピルが処方してもらえると聞き、私も使ってみたいと思うのですが、副作用はどうなのでしょうか。太ったりしないか心配です。(匿名希望・神戸・販売員)
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ピルは極めて高い確率で避妊が可能です。副作用もさほど問題ありません |
日本では、避妊方法としてコンドームがもっとも頻繁に使われており、避妊方法別では80%近くになるといわれています。しかしながら、コンドームによる避妊の1年間あたりの失敗率は、理想的な使用法でも3%、一般的な使用法では14%に及ぶとされています。特に、毎回性交の初めから装着していない限り、避妊効果はきわめて不充分で、使用中にはずれたり、破れたりして避妊に失敗して受診されるケースも目立ちます。
これに対して、ピルにより避妊する場合、服用し忘れたりすれば、統計上年間5%程度避妊に失敗しますが、理想的な使用法では避妊に失敗する確率は0.1%とされており、極めて高い確率で避妊をすることが可能です。毎日きまった時間にきちんと内服すれば、ほぼ確実に避妊ができることになります。
低用量ピルによる避妊は、欧米では避妊法の主流になっていますが、わが国でも、やっと3年半前に低用量ピルが認可され、普及しはじめています。ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の合成女性ホルモンが配合されており、ピルを服用することにより、排卵を抑制し、もし万一排卵しても子宮内膜が薄く、着床しにくくなっており、また子宮頚管粘液の分泌を抑制して精子の子宮内への侵入を防ぐことにより、非常に高い避妊効果が得られます。多くの場合、ほとんど大きな副作用なしで服用を継続することができます。
比較的よくある軽い副作用としては、吐き気、頭痛、乳房の張り、不正性器出血などがあげられます。ただし、これらの副作用は起きたとしても一般的には軽度で、また、服用開始から3周期以内くらいで、体がなれるに従い、多くの場合おさまります。低用量ピルで体重が大幅に増えるということはほとんどありません。体重が増加する原因として、むくみや脂質代謝の変化、食欲増進などがあげられます。体重が増えたとしても軽度であり、一般的には食事や運動などにより、コントロールが可能です。
ピル服用による最大の副作用は血栓症ですが、その頻度は極めてまれです。しかしながら、喫煙者は非喫煙者に比べて、血栓症を起こしやすく、このためピルを服用する際は禁煙が望まれます。特に35歳以上で1日15本以上喫煙する方は、服用してはならないことになっており、まず禁煙が必要です。また、喫煙者以外でも、原因不明の性器出血があったり、血栓ができやすい体質の方、脳や心臓の血管に病気があったり、乳癌等があったり疑われる方など、服用が禁止されている症状、病気がありますので、服用前に医師にご相談ください。
ピルは日本では医師の処方が必要ですので、上記のような服用できない場合も考えて、病医院を受診していただかなければなりません。日本では避妊目的として認可された低用量ピルですが、月経に伴う諸症状(月経痛、過多月経、月経前症候群など)を緩和する効果があります。また、定期的に月経が来るため、月経不順も解消されます。最近では、これらの症状緩和や治療目的で低用量ピルを服用する方々も増えてきています(残念なことに日本では治療薬として認可されなかったため、上記の治療として用いる場合にも保険が適応となりません)。
ところで、各種避妊法のなかで、ピルはあくまで避妊が目的であり、性感染症は予防できません。この点が避妊法のなかでも、コンドームと大きく異なります。より確実な避妊と性感染症の予防のためには、両者の併用が理想的です。(2003.2.15) |
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