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セックスの時、少量ですが、出血することがあります |
29歳、独身です。2か月前から、セックスのときに少量ですが、出血することがあります。彼とは1年以上付き合っていますが、2か月前までは、セックスに伴う出血は一度もありませんでした。生理は毎月遅れずに順調にきており、セックスのときに限らず、生理以外ではこれまで出血することはなかったので、癌ではないかと不安でしかたありません。出血以外におりものも少し気になります。どのような原因が考えられるのでしょうか。20歳代でも子宮癌になることはあるのでしょうか。もしそうなら、子供を産めなくなってしまうのでしょうか。怖くて、婦人科を受診するのをためらっています。(R子・東京・OL)
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不正性器出血の原因はさまざまですが、早めの婦人科受診さをおすすめします |
月経以外に性器から出血する場合を、不正性器出血と呼びます。不正性器出血の原因はさまざまですが、大きく分けると、
1.妊娠に伴う出血
2.ホルモン分泌の異常や変化に伴う出血
3.外傷による出血
4.炎症による出血
5.良性の腫瘍による出血
6.悪性の腫瘍による出血
などが、考えられます。まれには、ご本人が性器からの出血と思いこんでいたら、膀胱、尿道や肛門など他の部位からのこともあり、また出血しやすくなる血液の病気によるものもあります。ホルモン的な問題で出血するのは、脳や卵巣から出るホルモン量やバランスに問題があり、子宮内から出血するもので、量が多かったり、長期間続いたり、頻繁に起きる場合には、血液検査などで原因を究明し、治療を要するものもあります。
ホルモンの変化で出血する他のものでは、中間期出血といって、排卵期に限って少量出血する方がいらっしゃいます。程度にもよりますが、この場合治療は通常不要です。R子さんの場合は、まず妊娠の否定は必要ですが、月経は毎月順調であり、性交時に限って出血するとのことですから、妊娠やホルモン的なものよりは、性器自体の問題がより疑われます。それも子宮の入り口部分に、性交時の接触により出血しやすい何らかの問題がありそうです。
代表的な原因としては、子宮膣部びらん、子宮頚管ポリープがあり、時に膣炎、子宮頚管炎で出血することもあります。まれなものとして、粘膜下子宮筋腫が膣に出る場合(筋腫分娩)や、子宮頚部に発生する子宮筋腫、子宮内膜症、異形成(良性と悪性の間にあるもの)、子宮癌などがあります。これらは同時におりものも増えることがあります。
「びらん」とは、粘膜がただれた状態を指します。ホルモン分泌の影響で、ただれているように見える偽びらんと、炎症などで実際にただれているびらんがあります。前者は通常治療は不要です。後者や膣炎、子宮頚管炎は炎症に対して治療することにより、出血がなくなります。
「子宮頚管ポリープ」は、子宮の入り口部分から発生するできもので、その大部分は良性です。大きさは数ミリから、せいぜい1、2cmのことが多く、無症状の場合も多いのですが、性交による接触で出血することがあります。ほとんどの場合、外来で簡単に摘出できます。その際、痛みもまずありません。
もっとも問題になるのは、「子宮癌」による、出血です。子宮癌には、子宮の入り口にできる子宮頸癌と、子宮の中にできる子宮体癌がありますが、性交時に出血する場合には、前者がより疑われます。不正性器出血のなかで、子宮癌の占める割合は低いのですが、20歳代でも皆無というわけではなく、性交時の不正性器出血がある場合には検査が必要です。
検査は子宮の入り口の細胞をこすって採取するだけなので、ほぼ無痛で簡単にできます。初期の子宮頚癌であれば、子宮を摘出しないで治療が可能です。その場合には、もちろん将来妊娠し、出産することができます。20歳代で子宮頚癌が見つかる頻度は低いものの、万一子宮頸癌であれば、初期の段階で治療することにより、生命を危険にさらすことなく、かつ、将来の妊娠・出産もできるわけですから、ぜひ、早めに婦人科を受診されることをお勧めいたします。(2003.3.16) |
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