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赤ちゃんができないのですが、主人の不妊症検査も必要でしょうか? |
31歳の主婦です。結婚して4年、赤ちゃんを作ろうとしてから、1年以上経つのに妊娠しないので、近所の産婦人科を受診しました。この3か月で、わたしの基礎体温や、内診とか超音波検査、採血や卵管が詰まってないか調べ、今のところ異常は見つかっていません。初診時に主人の精液検査も必要といわれ、容器を渡されていますが、主人は、どうしてもこの検査に抵抗があるようで、まだ実施していません。精液検査はやはりどうしても行わないとだめなのでしょうか。(神奈川県 Y.S)
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不妊夫婦の48%はご主人に原因があります。精液検査は必須の検査です |
WHO(世界保健機構)が、不妊原因を女性側と男性側にわけて調べてみたところ、女性のみ原因がある場合が41%、男性のみが24%、男女双方が24%、原因不明が11%でした。すなわち、不妊夫婦の48%のご主人に原因が見つかったことになります。当院のデータでもほぼ同様の結果です。2組に1組は、男性側にも原因があるわけですから、男性側の検査は不妊原因を調べるためには必須の検査であることがおわかりいただけると思います。
男性によっては、不妊といえば、女性側の原因と決め付けていたり、もし結果が悪かったときに男としてのプライドが傷つけられることを恐れてか、この検査を渋る方も時にいらっしゃるようです。検査自体は、マスターベーションにより専用の容器に採取していただきますので、採取に苦痛を伴うものでもなく、女性が内診台に上がることを思えば、はるかに楽な検査のはずです。
自宅で採取して、短時間のうちに病医院に持ち運ぶか、病医院によっては、院内に専用の採精室を設けているところもあります。なにより、精液検査を行わないということは、不妊原因の半分を見逃すことになるのですから、この検査は不妊症検査の中で必須項目です。
そもそも赤ちゃんをつくるということは、当然のことながらご夫婦で協力し合うことが大切です。知識不足で協力を渋るご主人には、不妊原因の半分は男性側であることを知っていただく必要があります。そのためには、奥様だけでなくご主人も受診して医師から直接説明を受けるか、また、不妊に関する本で勉強してもらったり、不妊専門クリニックなどで実施されている勉強会への参加していただくことも精液検査の重要性を理解をしていただく上で、手助けになると思います。
なお、どうしてもこの検査を頑なにこばむご主人に対しての対策として、排卵期に性交して、病医院に行き、性交後検査(フーナーテスト)を実施して、とりあえず精子がいるかどうか、また運動性はどうかを見てもらうこともできます。精液量や精子数、精子運動率などを詳しく調べられる検査ではありませんが、精子の存在の確認や精子の状態が不妊原因となっているか否かの判定に有用です。ところで、Sさんご夫妻の場合とは異なりますが、ご夫婦の間に妊娠の経験がある(二人目不妊など)場合に、精液検査が不要であると考えていらっしゃるご夫婦が少なくありません。
確かに、これらのご夫婦は一度妊娠しているわけですから、少なくともそのときは、妊娠するのに必要な精子はあったことは確かです。しかしながら、2人目がなかなかできない場合に、以前は精子に問題なかった男性が、その後なんらかの原因により精子の状態が悪くなるケースや、もともと精子の状態が悪く妊娠しにくかったのが、たまたま1人目の時はうまくいって妊娠した、などのケースも少なくないのです。したがって、一度も妊娠したことがないご夫婦に比べれば、異常が出る頻度は低いものの、2人目不妊の場合でも、精液検査は実施しておく必要があります。(2003.4.16) |
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