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高プロラクチン血症と診断されました |
最近月経不順となり、また妊娠しているわけでもないのに、ときどき乳汁が出ることがあるため、婦人科を受診したところ、高プロラクチン血症と診断されました。もうすぐ結婚も控えているのですが、医師からプロラクチンが高すぎるとと、妊娠もしにくいといわれて不安を覚えています。どのような病気なのでしょうか。（栃木県・Y）
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原因を明らかにし、それに応じた適切な治療を受ける必要があります |
プロラクチン（乳汁分泌ホルモン）は、脳下垂体から分泌されるホルモンで、妊娠により分泌が亢進し出産後にはこのホルモンにより乳汁分泌が促されます。プロラクチンは妊娠していないときでも少量分泌されていますが、このホルモンが妊娠していないときに過剰に分泌されると、排卵障害が起きて月経が不順になることがあります。
妊娠以外にプロラクチンが過剰に分泌される場合に、原因が特定できないことも少なくありませんが、プロラクチンを産生する脳下垂体性腫瘍ができている場合、甲状腺機能が低下している場合、薬剤によりプロラクチン分泌が亢進する場合などがあります。
日中のプロラクチン値が正常でも、夜間睡眠中に異常に上昇している場合があります。このような場合を潜在性高プロラクチン血症と呼びます。夜間に採血するのは困難なため、TRHというホルモン注射をして、高プロラクチン血症が潜んでいないか調べる（TRH負荷テスト）こともできます。プロラクチン分泌を亢進する薬剤としては、精神科の薬の一部や胃潰瘍の薬、吐き気止めの薬などがありますので、もしこの類の薬剤を内服中に月経不順や乳汁分泌が見られるようになった場合には、プロラクチン分泌を亢進する薬でないかどうかを、たずねてみる必要があります。
プロラクチンが過剰に分泌されると、排卵障害につながることが少なくなく、結果的に月経不順となり、また当然ながら不妊の原因となります。プロラクチン値が極端に高い場合には、脳下垂体性腫瘍（プロラクチン産生腫瘍）も考慮して、頭部のCT検査やMRI検査が必要となります。明らかな腫瘍が見つかることは多くはありませんし、この腫瘍は一般的に良性で、微小なものは薬で治療が可能です。大きな腫瘍は手術で摘出することがあります。
薬剤性の場合には、休薬または、薬剤の種類の変更を検討する必要があります。甲状腺の病気が原因となっている場合には、そちらの治療をしていきます。これら特定できる原因でない場合の治療としては、プロラクチン分泌を抑える内服薬を使用するのが一般的です。
現在もっともよく使用されている高プロラクチン血症に対する薬としては、テルグリド（商品名：テルロン）や、ブロモクリプチン（商品名：パーロデルなど）があります。これらの薬の治療効果は大変良好ですが、吐き気などの副作用が頻繁に認められます。このため、少量から開始して慣らしながら必要量を内服していきます。最近では週1回の内服で治療できるカベルゴリン（商品名：カバサール）も、使用され始めました。
高プロラクチン血症により排卵障害や黄体機能不全があると妊娠しにくい場合があることは事実ですが、これらの薬剤の治療効果は大変良好ですから、不妊ということに関してあまりご心配される必要はありません。しかしながら、上記のように高プロラクチン血症の原因がさまざまであるため、原因を明らかにしてそれに応じた適切な治療を受けることが必要です。（2004.2.18） |
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