ワールドカップ・アジア最終予選、フットサル、そして2004年Jリーグ…

ワールドカップ・アジア最終予選のスケジュール決定!

12月9日に、2006年のドイツ・ワールドカップのアジア最終予選のドローが決定しました。日本は、まず2月9日にホームで北朝鮮と対戦、3月25日にアウェイでイランと対戦し3月30日にホームでバーレーンと対戦、6月3日にアウェイでバーレーンと対戦し6月8日にアウェイで北朝鮮と対戦、そして最終戦となる8月17日はホームでイランと対戦するスケジュールです。

4チームのうち2位までが出場権獲得。3位は韓国/サウジアラビア/ウズベキスタン/クウェートで構成される別グループの3位とプレーオフを行い、その勝者がさらに北中米カリブ地区4位とプレーオフを行い、ワールドカップ出場国最後の切符を争うことになります。何だか、予感していたとおりのグループ分けになってしまいました。もちろん、決してよい意味ではなく。

今回のドローですが、日本と韓国が「第1シード」だったのですが、クウェートと北朝鮮の「第4シード」のどちらになるかと思っていたら北朝鮮に、バーレーンとウズベキスタンの「第3シード」ではバーレーンに…ここまではまったく予想どおり。そして「第2シード」のサウジアラビアかイランのどちらかになるかが最大の注目点だったのですが、イランになってしまいました。どちらかといえば、日本・韓国と並んでアジアのトップ3と思われるイランと同グループは避けたかったところですが、どの試合も厳しいことに変わりありませんから、グループ分けに神経質になってもしかたないかもしれません。それでも、「第1シード」の日本と韓国がキツイ移動をこなさなくてはならないようになったと見えるのは、これまた神経質に過ぎるでしょうか。

それでも、初戦と3月の2連戦を理想どおりに運べれば、出場権獲得に大きく近づくことができそうに思えます。特に重要なのは2月9日の初戦でしょう。今年の一次予選でもそうだったように、2月9日というのはオフ明けでコンディションが整わない時期。ホームで勝たなければならないという重圧もありますので、難しいチーム・マネジメントが求められそうです。3月の2連戦も、イランで戦った後に戻って来て中4日でバーレーンと対戦しなくてはなりませんから、やはりコンディション調整が鍵になるでしょう。

また6月は、バーレーンで戦った後に北朝鮮に移動し、さらにその後ドイツで開催されるコンフェデレーションズカップに出場するという、非常に厳しいスケジュールになります。もちろん、できれば6月8日の段階で(コンフェデレーションズカップ参加前に)2位以上確保=出場権獲得と行きたいところですが、そうは簡単に行かないと考えるべきです。

いつもいうように、ワールドカップ本大会よりも厳しいのが地区予選です。それは、アジアでもヨーロッパでも南米でも、どこでも同じ。ワールドカップ予選に本命などありません。本当に熾烈な「戦い」「戦争」なのです。最終予選は当然にして一次予選よりもはるかに手強い相手ばかりですから、際どいスリリングな展開になると思います。それでも、とにかく2位以上に入ればよいのですから絶対に出場権を獲得してくれるものと信じています。

フットサル世界選手権

11月21日から12月5日まで、台湾でフットサル世界選手権が開催されました。フットサルは日本でも知る人ぞ知る隠れた人気スポーツ。フットサル場を借りるのも予約が一杯で、フットサルを楽しむにもたいへんな苦労をする状況が何年も前から続いています。

そんなフットサルの日本代表が(過去には招待出場が1回ありましたが)、初めてアジア予選を勝ち抜いての世界選手権出場を果たしました。残念ながら、パラグアイ/イタリア/アメリカと対戦したグループ・リーグは1引き分け2敗で二次リーグに進むことができませんでした。

パラグアイ戦は本当に惜しい敗戦、イタリアはファイナルまで勝ち進んだ今大会屈指の強豪で、何とか2位抜けできるかどうかという際どいところだったのですが、厳しい結果となりました。それでもフットサル日本代表の戦いぶりは、サッカー日本代表が世界の舞台への階段を一つずつ昇っていったような雰囲気に近いものを感じます。

フットサルは老若男女を問わず気軽に楽しめるスポーツですし、実際に競技人口は多いのですから、フットサル場の数の充実をはじめとする環境整備に、ぜひとも日本サッカー協会はもっともっと動いて欲しいものです。

2004年のJリーグ総括

JリーグのDivision1(J1)は、1stステージ優勝の横浜F・マリノスと2ndステージ優勝の浦和レッズとの間で年間チャンピオンを決定するチャンピオンシップが行われ、第1戦は12月5日にF・マリノスのホーム、横浜国際総合競技場に6万4千人を超える観客(6万4899人)が、第2戦は12月11日にレッズのホーム、埼玉スタジアムに約6万人の観客(5万9715人)が集まり、中身の濃い、熱のこもった戦いが繰り広げられました。

来シーズンからは1シーズン制になりますので、今年が最後のチャンピオンシップ。リーグ戦で2つの優勝チームが出るというのは珍しいというか変則的なリーグだったので、これでJ1も国際標準になるということです。また、12月4日と12月12日にはJ1・J2入れ替え戦が柏レイソルとアビスパ福岡との間で行われ、来年の生活がかかったガチンコの勝負は、柏と福岡のサポーターばかりでなく全国のサッカーファンの大きな注目を集めました。

日本代表だけを追いかけるファンや、Jリーグには見向きもせずに海外の国内リーグやヨーロッパのチャンピオンズ・リーグなどを追いかけるファンも非常に多い日本のサッカー・ファン層ですが、今シーズンのJリーグもなかなか盛り上がりました。Jリーグのレベルは低いなどと向きがアンチ・サッカー派だけでなくサッカーファンの中にも結構みられますが、Jリーグのレベル自体は間違いなく向上しています。今シーズンのJリーグの試合には、面白い、見所のある試合も多かったというのが私の感想です。その国の国内リーグには質的な流れや変化の時期があり、現在のJリーグの姿もある種の変化・変容の段階に入っているようにも感じますが、根本的な水準は過去のJリーグと比べて随分向上していることは明白です。

観客数のほうも、アルビレックス新潟はホームゲームの平均観客数が3万7000人を超え、浦和レッズも同様に3万6000人を超えました。Jリーグ全体でも過去2番目に多い平均観客数を記録しました。経営も安定してきたクラブが増えてきましたし、レベル云々とは関係なく、自分のチームを応援する、サポートする、という文化がそれぞれの地域にどんどん浸透してきているのが見て取れます。

ちなみにプロ野球については、発表される観客数がたいへんなドンブリ勘定、水増し発表であることは周知の事実です。何しろ、実際のスタジアムのキャパシティ(消防署に届け出ている収容人数)よりも多い数字を平気で発表し続けているのですから。来シーズンから「できるだけ実数に近い」観客数を発表するとの表明もあるようですが、「できるだけ実数に近い」などというのはまやかしのようなもので、これからも水増し発表は続くでしょう。

Jリーグは常に正真正銘の実数発表。スタジアム入り口でモギリしたチケットの半券を数えて発表しています。日本の旧来メディアである地上波TVや新聞等のスポーツ・メディアは「野球ヨイショ」のために存在している、ある種イビツなメディア。ですから、こうしたことを報じないのでご存じの方は少ないと思います。まあ、Jリーグはそうした日本のイビツな部分とも戦っていかなければならないということです。

来シーズンはJ1が2チーム増えて18チームになり、J2にも新しいチームが2チーム加わりました。今後も全国各地でJリーグ参加を目指すクラブチームが続々と現れそうです。実際にそういう動きがあちこちから届いています。日本代表の世界への挑戦だけでなく、着実に全国に根をはっていくJリーグの挑戦も、楽しみでなりません。

Jリーグはすべてのスケジュールを終えましたが、元日にファイナル(決勝戦)を行う恒例のトーナメント戦「天皇杯全日本サッカー選手権」も各地で熱戦が繰り広げられています。まだまだ年末年始も楽しみが尽きることがありません。

最後に、12月12日に横浜国際総合競技場で25回めの「トヨタカップ」(ヨーロッパ・サウスアメリカ・カップ=別名インターコンチネンタル・カップ)が行われました。来年から「世界クラブ選手権」に吸収されますので、今年が最後のトヨタカップ。日本サッカーが氷河期の時代からスタートして四半世紀もの間、Jリーグ設立、ワールドカップ初出場、2002年のワールドカップ開催と、日本サッカー界のうねりと大きな歴史の急速展開と並行し、ある意味それを支えてくれたトヨタカップの終焉は本当に感慨深いものがあります。

何しろ、日本でのワンナイト・マッチのためにはるばるヨーロッパと南米から選手たちがやって来て、その試合が全世界百数十か国(今大会では145か国)にも衛星中継されてきたのですから。トヨタカップの試合終了のホイッスルはまた、日本サッカーがさらに次の時代へ、一段も二段も高いクラスへ挑んでいく戦いの始まりのホイッスルのように思えました。

そんな中で12月16日に横浜国際総合競技場で行われるのが、日本代表とドイツ代表の国際Aマッチ。フル代表のドイツと対戦するのは今回初めてという歴史的なカードです。ドイツというと、近年低迷している国とか、面白くないフットボールというようなイメージ持つ方も少なくないと思いますが、私たちのように1970年代からサッカー見続けた者からすると、ドイツは“皇帝”フランツ・ベッケンバウアーや、“爆撃機”ゲルト・ミュラー、“ミスター・ヨーロッパ”カール・ハインツ・ルンメニゲ等々、数多くのスーパースターを輩出した国。そんなドイツとの初の国際Aマッチに感無量のサッカー関係者やファンは多いと思います。

この日はインターナショナル・マッチ・デイではないので、お互いどんなメンバーが揃うかという問題はありますが、今年最後の国際Aマッチが充実した内容になって欲しいと思います。ドイツ代表は、日本と対戦した後、韓国・タイとも対戦する予定です。どこが最も面白い試合を見せるかという興味も湧きますね。

それでは、また。(2004/12/12)