のはずが、翌日になっても、そのまた次の日も、いっこうに痛みが治まらない。それどころか、指はますます腫れ上がり、夜ベッドに入ると、暖まって血行がよくなるせいか、ズキズキして眠れないくらいになってしまったのだ。これは、病院に行くべきか? いや、病院は最後の手段だ。昔、手の指の先が化膿して、ひょうそうになっては大変と病院に行ったことがある。が、「既にひょうそうですよ」と言われ、有無を言わさず爪の間(!)に麻酔の注射を打たれ、爪をばりばりと剥がされた。同じように足の、それも親指の爪なんか剥がされたら、しばらく靴もろくに履けなくなってしまう。
他に方法はないものかと、インターネットで検索してみる。爪とかフットケアとかを探すと、『ドクターフット』という、台湾式リフレクソロジーのクリニックのホームページに、「巻き爪」というのが出ていた。靴で圧迫されて、爪の端が内側に巻き込んでいってしまう症状。これだ! 絶対に間違いない。ん? 「巻き爪」になった場合、爪の角を切ってしまうと、どんどん巻き込んで悪化するので、絶対に角は切らないこと?……早く言ってよ〜! いちばんやっちゃいけないことを、私はやってしまっていたのだった。
そこに出ている治療法が、なかなか興味深かった。治療と言うより矯正。その名も『巻き爪矯正』という。どうやるかというと、爪の先の両端に小さな穴を開けて、超弾性ワイヤーという針金のようなものを通す。つまり、爪をホチキスの針で止めたようにするのだ。そうして、ワイヤーが元に戻ろうとする力で、巻いた爪の端を起こして平らにしていくらしい。

フットマッサージがメインのクリニックなので、『巻き爪矯正』の施術は奥のほうの、何やらいろんな器具の並んだスペースで行う。呼ばれて行くと、ちょっと高い椅子に座らされた。先生は私の醜く腫れ上がった親指をちらりと見て、「ああ、痛そうですねえ」と、さほど驚いた風もなく言う。
まず、資料用に親指の爪をデジカメで撮影。こんな変形した爪をアップで撮られるのは、例え足の爪でも、ちょっと恥ずかしい。それから、爪を電動ヤスリみたいな機械できれいにして、細いきりでクリクリと両端に小さな穴をあけ、ワイヤーを通し、ワイヤーの先が皮膚に当たらないようにカットしておしまい。あとはそのまま2〜3か月待つだけ。うそみたいに簡単だった。

さてこの矯正、驚くほど効果はてきめんで、あんなに痛かったのに、帰りの電車では、もう全く痛みは消え、爪を上から押してもなんともないくらいになっていた。そして、2日後には炎症も治まり、1か月後には巻き込んでいた部分がちゃんと浮き上がったので、針金を抜いてもらって終了。なかなかドラマチックな体験だった。

『ドクターフット』http://www.dr-foot.co.jp