よりどりみどり〜Life Style Selection〜


ヘッド・スパしませんか?

“頭皮のケア”なんてことが言われ始めたのはいつ頃からだろうか?

ちょっと前までは、シャンプーと言えば、さらさら、しっとりぐらいしか分類されていなかったのに、最近ではダメージヘア用、カラーリング用、硬い髪用、柔らかい髪用……などなど、様々なカテゴリーに分類され、いったい何を基準に選んだらいいのか、ちょっと悩んでしまうくらいだ。

そこに新たに登場したのが、頭皮をケアするというもの。

これ、たぶん基を辿れば、抜け毛や薄毛の予防というジャンルから始まったものだと思うのだが、髪は頭の皮膚、つまり頭皮から生えているのだから、その頭皮をケアすることが、美しい髪の基本……という理屈だ。生きのいい野菜は、肥沃な大地から……みたいな感じ……かな?

確かに、顔のお肌に関しては、やれクレンジングだ洗顔だ、保湿だ、美白だ、アンチエイジングだと、毎日鏡とにらめっこして、試行錯誤を繰り返しつつあれこれ塗りたくっているのに、そこからつながった頭皮のことなど、あまり考えたことはない。だいたい、見えないし。

シャンプーするときに、気持ちいいからちょこっとマッサージ的なことはするものの、意識は髪の毛に集中し、髪のコンディションさえよければ、それでよし! と思っていた。いけない、いけない! 土台をしっかりケアしなければ……。何しろ、いいと言われることは何でも試したがり屋の私である。頭皮、頭皮、とうひ〜〜〜!

今回、ヘッドスパ初体験で行った、広尾の『Salon de Rejue』(サロン・ド・リジュー)。秋にはすぐ近くのビルに、広くなって新装オープンするとか。
そんなときに、タイミングよく、友達がヘッドスパのサロンを紹介してくれた。広尾の『サロン・ド・リジュー』、ヘッドスパの草分けである。とにかく頭皮ケアに徹していて、医療的なものも含めていろいろとコースがある。特にここの売りは「ディープ・クレンジング・コース」。頭皮と毛穴を大掃除して、栄誉をタップリ与えるという夢のようなコースである。何やら、すっごいマシンを使うというので、迷わずそれをお願いすることにした。

最初に、マイクロ・スコープで、頭皮や毛穴の様子をチェックするのだが、パソコンに映し出された我が頭皮のアップ画像は、かなり小っ恥ずかしいものだった。だいたい皮膚、ましてや毛穴なんてもんは、アップでなんか見るもんではない。毎朝しっかりシャンプーして、トリートメントも欠かしていないのにも関わらず、頭皮がめくれ上がり、毛穴には皮脂が詰まっている様は、情けないくらいばっちい。

「普通にお手入れしていると、こんなもんですよ」

と、慰めに近い言葉をかけていただき、なんとか気を取り直す。私の頭皮は、乾燥しがちなので、詰まった毛穴の皮脂を落としつつ、頭皮には油分の補給が必要なのだとか。取ったり足したり……これがミソ。

いよいよトリートメントに入る。

まずは、頭皮を柔らかくするオイルを使って、軽く頭をマッサージし、ホースの付いた頭がすっぽり隠れるキャップをかぶせられた。

「オゾンスチームで10分蒸らします」

すぐにホースから蒸気がキャップいっぱいに流れ込み、頭がじんわりと温かくなってくる。キャップの隙間から白い蒸気が漏れて、シュンシュンシュン……私の頭は肉まん状態。

いい感じで蒸し上がった後、シャンプーに突入した。

シャンプー台に移動して、椅子を仰向けに倒して顔に布を被せられる。この感じは、ヘアサロンと同じだ。しかし、その内容は、これまでのシャンプーの概念を、全く覆すものであった。

「それではシャンプーしていきます」

の言葉を合図に、シャンプーを髪全体に泡立てると、両手10本の指の腹を頭皮に密着させて、かなりの力で洗う……というより、マッサージが始まった。頭を両手の指でしっかりと挟み込んだまま、小刻みにその手を動かしていくので、頭皮だけでなく、私の頭も小刻みにグラグラと揺れる。首から上が別の人格……なんだかスイカになった気分だ。

しかし、これが何とも気持ちいい。頭がグラグラ揺れて何やらぼんやりしてくる感覚と、頭皮をこれでもか! とマッサージされる感覚が合体して、うっとりするような心地よさ。

「強すぎたら言ってくださいね」

いやいや、もっと強くして! 正にS的快感とはこのことか。

「次は、ブラシを使ってシャンプーしていきます」

一度流した後、今度は色々な成分の入ったシャンプーを泡立てて、ゴムの突起でできた頭皮用のブラシで洗う。

これまた、頭がグラグラと揺れる激しさと、ゴムの突起の感触がクセになる気持ちよさ。今度は、ジャガイモになった気分である。頭はグラグラ動いているにもかかわらず、そのままうっかり寝てしまいそうになった。エステやマッサージ、シャンプー……他人に身を委ねてやってもらうものは、何でこんなに気持ちいいのだろう。

「お疲れ様でした」

と、椅子を起こされた時は、私の目はあまりの気持ちよさに半開きであった。

しかし、本当の快楽は、これからだった。なんと、シャンプーに勝るとも劣らぬ、魅惑のヘッド・マッサージが待っていたのである。

ローションを頭に付けて、両手で頭全体を包むようにして、ググ〜っと指に圧を加えていく。マッサージというより指圧の感覚。頭皮がグイ〜ンと引っ張られ、目尻や口角が引っ張られていく。顔には顔筋という筋肉があるから自分で動かすことができるが、頭には筋肉がないので、こうやって手で押したり引っ張ったりして動かすと、血行が促進され、皮膚も引き締まるのだとか。頭と顔はつながっているので、自然と顔全体もリフトアップされていくのがわかる。

ヘッド・マッサージはお顔のリフトアップに効果テキメンと見た。

マッサージは、頭だけでなく、首から肩、背中にかけても念入りにやってくれる。私の場合、仕事柄パソコンに向かうことが多く、目を酷使しているため、目から来る肩こりというやつが酷い。目の疲れは、両目からずっと頭、首、肩、背中と、目の幅で神経を辿って伝わっていくのである。

「加齢と共に、瞼を上げているだけでも、眼精疲労がくるんですよ」

歳をとると、目を開けてるだけでも疲労するってこと?

う〜む、生き長らえるのって、試練なんですね〜。

それにしても、ヘッド・マッサージだけでなく、上半身までタップリともみほぐしてくれるなんて、これだけでも来た甲斐があったというものだ。すっかり身体が軽くなり、またもや目が半開きの私の頭に、今度はスクワランオイルと、クロロフィルのローションがまぶされた。スクワランオイルは頭皮を柔らかくし、保湿効果があるとか。クロロフィルのローションは、皮膚呼吸を活性化させる効果があるという。肉まん→スイカ→ジャガイモと来て、今度はスペシャルなドレッシングをかけられたサラダの気分。そしてそのまま、オゾンスチームで蒸し上げること10分。

これが噂の“キョンシー”。キャップの中が真空になって、頭皮の毛穴の大掃除と、血行促進のダブル効果。未体験ゾーンでした。
いよいよ仕上げは、「ディープ・クレンジング・システム」というマシンを使った、毛穴のお掃除である。友達が「面白いからやってみな」と言ったやつだ。

スチームではシャワーキャップみたいなものをかぶらされたが、今回は、ゴム製のキャップをかぶる。競泳用のキャップみたいな感覚。その姿は、あの中国の妖怪・キョンシーに似ている。キャップのてっぺんに管が付いていて、そこからなんと空気を抜き、キャップの中を真空状態にするのだという。

「数秒真空にして、また戻す……を何回か繰り返します」

こんなマシン類を使って、丁寧にケアしてくれます。
スイッチを入れて真空になると、頭全体が締め付けられるような感覚。これで、毛穴の中の皮脂を根本から取り去るのだ。独特の圧迫感と共に、頭が冷たくなるのは、真空によって温度が下がるからだそうだ。この機械は、発毛にも使われるそうで、実際にディープクレンジングのコースを定期的に受けて、ハゲが改善した人もいるそうである。

マシンのクレンジングが終わった後は、仕上げに弱酸性の炭酸水でシャンプー。

仕上げの炭酸水を作る機械。炭酸水は弱酸性で、血行促進、殺菌作用、代謝のアップなどの効果があるそう。液体炭酸ガスのボンベがいかにも効きそう!
これは、血行の促進と、代謝のアップ、殺菌作用などがあるとか。炭酸水と言っても、水に炭酸が溶けているので、ソーダみたいにシュワシュワしているわけではない、念のため。

こうして、全コース、約1時間半。私の頭皮と髪は、ピッカピカに磨き上げられた。マイクロスコープで見てみると、埋もれていた毛穴が一つ一つ顔を出し、毛根までよく見える。おお! きれいになった!

しかし、それよりも何よりも、何とも言えないこの爽快感! 上半身の疲れが取れ、頭がシャキッとして、元気はつらつ! 頭部まで血液が元気に流れ込んでいる実感がある。ヘッドスパの醍醐味はこれなのだなと思った。

以来、朝の私のシャンプータイムは、今までの3倍になった。サロンで買ったゴムの頭皮用ブラシを使って、自分で毎日ワシワシとマッサージ。しかし、やっぱり自分でやるとうまく力が入らないのが悔しい。

頭が首からスポッと外れたら、心置きなく力一杯マッサージできるのになあ。ふと、エクソシストのワンシーンがよぎった。

『Salon de Rejue』(サロン・ド・リジュー)
http://www.salon-de-rejue.com/