デビュタントたちによる舞踏会のオープニング。
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ヨハン・シュトラウスのウィンナーワルツに人々が熱狂した19世紀半ば、「会議は踊る」と、かつては皮肉を込めて表現された時代もあったほど、ワルツはウィーンになくてはならないものです。お店に入っても、カフェでお茶をしても、タクシーの中にも、なんとオペラ座前の公衆トイレにさえも、ウィーンでは街中に、独特の三拍子が溢れています。とりわけ冬のあいだ……ファッシングと呼ばれる謝肉祭の時期に、ウィーンの街ではあちこちで、大小さまざまな舞踏会が開かれます。
現代では、“職業の数だけ舞踏会がある”とも言われ、舞踏会の主催は各種の職業組合や、団体、学校、また個人的なものまで、さまざまなものがあります。舞踏会が開催される場所も、王宮から市庁舎、一流ホテルと、こちらもいろいろです。その規模も、比較的内輪の人たちだけで行われるこぢんまりとしたもの、服装や雰囲気もカジュアルなものから、“男性はタキシードか燕尾服、女性はロングイブニングドレス”、とドレスコードの指定がある、フォーマルで大規模な舞踏会など、これも多様です。そして、装飾や演しもの、おみやげに至るまで、それぞれが色々な工夫をこらし、特色を出しているのです。
舞踏会シーズン中は、街のショーウィンドーも華やかです。
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まさに“連日連夜”、ウィーンの人々は踊り明かしているのです。