勝利が目前となった時間帯で、ザッケローニの勝利を心から欲しているような表情が新鮮だった。

親善試合とは言え、アルゼンチン相手の勝利が目前となった残り十数分。しかも初めてのナショナルチームの監督としての初戦。さすがにザッケローニも勝利を希求する気持ちが強くなったのだろうか。気を緩ませることなく焦ることもなく、冷静に、しかしどこかソワソワ感というか、祈り感というか、そんな風も見て取れたのだが。

そんなのは私の邪推に過ぎないかもしれない。もしそうだったら、ザッケローニ氏に失礼と思います。でも少なくとも、イタリアのセリエの大一番や大勝負の試合ですら、ザッケローニ氏のあのような表情は(私の記憶の中では)見たような気がしないです。

試合前にネットで見たスタメンでは金崎の名前があったので、たぶん1トップ下に3枚で、並びは右に金崎、真ん中に本田圭佑、左に香川と思われたのでワクワクしたのだが、フタを開けてみれば金崎でなく岡崎でガックシ。
しかし、その岡崎がゴールを奪ってくれたのだから、岡崎にゴメンなさい言います。ま、そのゴールは良かったが、その前、内田のクロスをダイレクトシュートして相手ゴールキーパーに至近距離でぶつけてしまったのはイカンですよ。ちゃんと決めてくれ。あのウッチーのクロスも正確でいいボールだが、やっぱり右足のインサイドキックもしくはインフロントキックだったので、時には(特にああいうシーンでは)インステップでもっと速いボールを入れてくれるとなおいいんじゃないだろうか。
岡崎のゴールは本田が右からのボールをシュートに持ち込もうと狙ったところを潰されて、そのこぼれに長谷部がダイレクトで低く鋭いシュートを放ち、それをゴールキーパーが弾いたところに森本と岡崎が飛び込んでゴールネットに突き刺したもの。あまり長谷部のシュートをほめる声が聞こえないが、これまでならインで蹴ってふかしていたのをアウトにかけて低く鋭いシュートを飛ばした長谷部をもっと評価すべきだ。ちゃんと工夫と向上を積んでいる。

守備では、アルゼンチンの攻撃がハーフウエイラインを超えてきた場合、2列め左右の岡崎と香川が位置取りを深くして中盤センターの遠藤、長谷部とともに4人でフラットなラインを形成している風に見えた、、、そしてその時は1トップの森本とともに本田がむしろ高く残って2トップの形を取るようにしていた風に見えた、、、新しげでホォ~と思いながら見ていたのだが。
この試合前の合宿では、守備における身体の向きなどをザッケローニ監督が細かく指導していたようで、そういう守備スキルは日本選手にとっては斬新というか深いというか、目を開かせられるところが多いのではないだろうか。ザッケーローニとそのスタッフにとっては、ナショナルチームに選出される選手なら既に当然身につけているはずのことも含んでいるかもしれないが、その辺で違和感や逆の意味の(こんなことも知らないの、的な)驚きもあったりするかもしれないが、よろしくお願いします、と言いたい。そして日本サッカー協会は、そうした守備のセオリーなりスキルをキッチリ吸い上げて財産として残し伝えていくように、お願いしますよ。

アルゼンチンに勝てたとは言っても、たかがテストマッチ、親善試合。もちろん一定の価値はあるけれど、その程度に過ぎない。当然浮かれることもない。ただ、その親善試合ですら、これまで我が日本代表チームはフル代表の試合で、ブラジルやアルゼンチンやドイツやオランダやフランスやイタリアやイングランドやスペイン等々といったフットボール強国に勝ったことが実は一度もなかったのだから、そのことは1つ新しい場所へ進めた気はする。そもそも試合内容も、偶然の結果ではなく必然性を感じさせられるものであったことが大きい。日本がワールドカップを本当に意識し始めてから(それは1992年頃からと考えている)わずか20年弱、、、その間に遠回りもあったし無駄な(無為な)何年間としか言いようのないものもあったが、それらすらも全て積み重ねられた土台として生きていたことを確認できた気もする。繋がりというか継続性というか、、、サッカーファンはいっつも嘆いていたのだから、継続性というものが日本サッカーには無いと、、、新しい代表チームがスタートする時にそのようなものをいささかなりとも確認・確信が感じられたことは、実は初めてと言ってよいだろう。それはザッケローニの手腕なり器量もあるだろうが、数え切れないほど多くの関係者の努力の賜物でしょう、日本全国各地で何の報いもないのに日夜努力している莫大な数の草の根の指導者の方々を含め。いろいろあるけれども、とにもかくにも、この国のフットボールは進化を間違いなく続けていると思うのだ。

皆さんも言っているように、そして感じているように、ザッケローニにはプロフェッショナルな監督・コーチとしての雰囲気、気配がぷんぷんしてくるでしょう?? オシム氏という偉大な指導者も過去には存在してくれていたが、オシム氏とはまた違ったそんなプロフェッショナルな監督のチームづくりの過程を、楽しみに、興味深く、じっくりと見つめて行こうではありませんか。とっても楽しみでしょ。

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