オーストリアから来日したウィーンの貴族の先生が、日本のデビュタントたちを指導している様子。
ウィーンの貴族、マティアス男爵が、デビュタントの女性たちにお花の持ち方を指導しているところ。
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カドリールはまた、はたから見ているとものすごく楽しそうなのです。私は舞踏会に参加してカドリールの時間になると、いつも参加者たちが子供のように、楽しそうに踊っている(騒いでいる)のを見ているだけでした。踊りの名前すら知らず、もちろん踊れず、習えるものであることも知らなくて、あれは地元の人でないとわからないものなのだと思っていました。カドリールではいちいち「自分のパートナーへ」「女性が左手で」「前へ〜、一歩」と指揮してくれる人がいるのですが、ドイツ語が基本で、動きについてはフランス語が混じっており、もちろんステップの流れをちゃんと知っていなければ参加することは難しいのです。
そのカドリールを、私は何度目かのウィーンで初めて、習うことができました。けれども6種類もあるカドリールのパターン全部を一度に覚えるのは、時間的にも能力的にも難しいので、「このパターンは、どのパーティでもたいてい出てきます」という3種類を重点的に教えて頂き、舞踏会に臨みました。初めてカドリールを「習って」、舞踏会に参加した時の様子をご紹介いたしましょう。
舞踏会の夜。11時半頃になると王宮のメインホールには、「そろそろ時間?」という顔で人々が続々と集まってきて、列になり始めます。私も今回はダンスを習ってきたので、意気揚々と、パートナーと共にその中の一員となります。いつものように、始めに簡単な説明がドイツ語であって、「それでは」といきなり1番からスタート。ところが途中から、習っていないパターンが始まってしまったのです。 今日の私のパートナーもあまりよく知らない様子、でも並んだ以上は、やらなければなりません。「もしわからない時は、自分の列の同性を見ながら、真似して踊れば大丈夫」という先生の言葉を思い出して、何とかなるかな? と思いつつも、困った顔を見合わせる私達。向かいになったペアの男性(多分現地人)は仕方なく、自分が動きながらも「次は前へ一歩」「次は休み」と、親切に(しかも英語で)私達に教えてくれていました。これで何とか、ついていけそうです。