王宮舞踏会にて、私の知り合いの男性とマティアス先生と一緒に。
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踊り始めて、私はドイツ語が片言しか話せないことを伝えました。すると相手の男性は、フランス人だったのです。その後は英語で、簡単な自己紹介から始まって、踊りながら話ができました。彼も一時的にウィーンに滞在しているとのことでした。英語も、踊りも、そんなに上手ではなかったのですが、とても優しい印象の人でした。初対面の方にいきなり、貴族かどうかまでは、聞けませんでしたが……。
何曲か踊って、「それではまたいつか、この舞踏会でお会いできればいいですね」と、その男性にお礼をいい、私は友人の“伯爵”とエリーさんと再び合流しました。そしてこの出来事を報告すると……エリーさんは、「マキコさん、あなたは、せっかく踊りに誘ってくれたその人の、名前しか聞かずに、別れてしまったの? せっかくの出会いのチャンスをフイにしてしまうなんて」と私にいうのです。
……そうなのです。この、一般の人が参加できない特別な舞踏会という社交の場こそ、素敵な出会いの場でもあるということだったのです。
この、エリーさんについては後日談で改めてご紹介したいと思います。