些細な出来事



スーパーマーケットのトイレでの出来事です。

女子用のドアを押すと、2つある個室の片方に、幼稚園の
年長さんくらいの男の子が、個室のドアを開けたまま
１人で入っていました。

なな号が隣に入ろうとすると「だれ？」と問いかけてきました。

「いや、だれって聞かれてもねぇ...」と心でつぶやき、
気がつかないふりをして入ったのですが、出てきたら
またもや「だれ？」と聞く。

しかたなく「どうしたの？おかあさんは？」と訊ねると、
なにやら意味不明なことを言っている。

まいったな。
なな号はけっして子供が得意ではありません。

ズボンは下がったまんま。
「ちゃんとできたの？」

「うん」「これどうやって流すの？」
どうやら、流し方に自信がなかったらしい。

「そのレバーを押すんだよ、強くね」

流れたので安心したらしくズボンを上げ、外に
出て行こうとしたので「手、洗っていきなよ」

言うことに素直に従う男の子は、見ればやっと洗面台の
蛇口に手が届くくらいの背丈でした。

「ほら、そのポンプを押せば石鹸が出るよ」
どう見ても手が届きそうになかったので、ポンプを押してやり
「はい、よく洗ってね」

躾がいいのか、思いの外時間をかけ丁寧に手を洗いました。

「そしたらそこのドライヤーで、手を乾かして」

素直に従う男の子。

「うん、よくできたね」

男の子は嬉しそうにドアを押して、出て行きました。

外には、乳母車を押しながら待っているおかあさんがちゃんといて
男の子はお母さんには、自分で全部できたと報告したようでした。

その親子は、何事もなかったように歩き出したのですが、
男の子がいきなり、くるっと振り向き、なな号に向かって
にっこり笑いかけました。

予想外のアクションだったので、ぎこちなく笑い返したなな号。
すると今度は、嬉しそうに手を振ってくれました。
つられて手を振るなな号。

男の子となな号が秘密を共有したような、そして男の子が
ちょっとだけ自信を持った感じが理解できて、不覚にも
ちいさく幸せを感じてしまいました。

子供、好きじゃないのに。



※今日のお楽しみ

おかっぱ　その1



おかっぱ　その2



くくく...