王宮のメインホールの天井画です。この絵を見上げながらくるくる踊ると……別世界へ来てしまったような感覚になります。
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王宮は、一時期にはオーストリアのみならず神聖ローマ皇帝ともなりその勢力を誇っていた、ハプスブルグ家の居所であった、歴史的・文化的場所です。1275年に建てられたこの王宮、2600もの部屋があるというから、いったいなんという広さ! と思ったら、ハプスブルク家の発展と共に数百年間に渡って増改築が繰り返され、現在の膨大に広い姿になったのだそうです。その王宮内をオープニングセレモニーの時間まで、私のパートナーが案内してくれます。この部屋はどうでこうで、あの壁にかかっているワッペンは何年の何で……と一生懸命説明してくれるのですが、私は女性たちのさまざまなデザインのドレスや、部屋の内部の装飾の美しさにばかり目がいってしまって、はっきり言って上の空でありました。
普段は公開されていない他の多くの部屋も、舞踏会の時には開放されます。豪華なシャンデリア、ろうそく型のランプがえんじ色の壁についた部屋、大理石の壁に大きな鏡がかけられ壁も天井も白い、廊下(直訳すると側面回廊)、金のふちどりの白いドア、大ホールは高い天井にルネサンス期のような絵……と、どの部屋も廊下も、とにかく美しく、雰囲気がすばらしいのです。どこを歩いても、全てカメラに収めたくなるくらいなのでした(私があまり写真、写真、と言うので「日本人はいつもカメラを持っているというのは本当だ」とパートナーに言われてしまいました。だって、こんな場所生まれて初めてだし、せっかく来たのですから!)。
その、歴史的な部屋の中で、正装した男女がいて、シャンパングラスを傾けながら談笑したり、腕を組んでシャンデリアの下を歩いたりしている……。まさに、映画の中のシーンのようです。ハプスブルク帝国時代にも、女性のドレスのファッションこそ現代とは違うでしょうがきっと、こんな光景だったのでしょう。