Vol.13 初めての王宮舞踏会 〜夢がかなった一夜〜

王宮、大階段の吹き抜けにあるシャンデリア。

銅像の前で記念撮影をする人々。“舞踏会には愛があふれているのですね” この写真を撮影された方の言葉です。素敵ですね。
主にウィンナーワルツが演奏されていた大ホールの他に、生演奏の部屋は4つあり、ラテン系音楽だったり弦楽が静かに演奏されていたりと、それぞれ楽しめます。日本のダンスパーティーでは、踊る相手は次々替えると聞いたことがありますが、ウィーン舞踏会では皆さん、ほとんどずっと、自分のパートナーや知り合いと踊っています。そして踊らない人たちは、テーブル席でワインや食事を楽しみながら、踊る人たちを見ています。食事は入場料とは別料金で、ホテル・インターコンチネンタルのケータリングが入っていました。その他にバーやカフェもあり、私たちも時々踊ったり、お酒やコーヒーを飲んだりしながら、それらの部屋を散歩して回ります。舞踏会によっては、ディスコもあるそうです。

数千人と言われる参加者の中、日本人(らしき人)を見かけたのは数人でした。現地の人とは目が合うと、「あら、こんなところにアジア人が……中国人かしら」と不思議そうな顔で見られているようです。そして全体的に、中高年から自分の親くらいの年代、おじいちゃま、おばあちゃまたちが多かったのも意外でしたし、そういう人たちから見れば、アジア人の私など多分、20歳くらいに見えていたのではないでしょうか?(冗談ではなく……)

私たちは、テーブル席(これももちろん別料金です)は予約していなかったので途中から少々疲れましたが、それでも時計を見てびっくり、あっ! という間に夜中の2時になっていたのです。そして……舞踏会の初日は朝5時の“ラスト・ワルツ”までいて、タクシーで送ってもらいました。それから午前中はずっと、朝食も食べずに寝ていました……。


こうして私の、見るものすべてに感動した生まれて初めての舞踏会の夜は、終わりました。正真正銘、本場ウィーンの、王宮舞踏会に来たこと、ドレスを着たこと、映画のような光景が繰り広げられていたこと……そのどれもが夢のようでした。今回、初めて戸を叩いたウィーンのダンススクールで紹介していただいた、“王子さま”ならぬパートナーは(見かけはおじさんだけれど)とてもいい人でしたし、大変でしたが自分で夢を実現したことは大きなうれしさだったのです。けれどもその余韻に浸る間もなく、実はその後三日三晩、また別の舞踏会に参加してきたのです。その中のひとつに、社交界のトップイベントとして世界的にも有名な、オペラ座舞踏会もありました。