お城の裏からの、周囲の眺め。この向こうにドナウ川が、流れています。
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これは、一見“当たり前のこと”に聞こえます。きっと、誰もが「そんなことわかっている」のだと思います。けれども、言葉にしてしまえば当たり前すぎて、かえっていつも、あえて意識していないことが、もしかしたら一番大切で、そして最も実行の難しいことなのかもしれません。ましてや、周りの人たちから普段“敬意を払われている”立場の方ならなおさら、難しいことなのではないかと、私は想像するのです。
私たちがテレビで拝見する天皇・皇后両陛下の、人びとに接されるそのお姿も、“敬意”に満ち溢れていることは、申すまでもありません。……ところで今あなたは、身近な人々に対して、日々、それが実行できていらっしゃいますか。私は……実は、自信がありません。
プリンセスは続けられました。「民主主義の今の世で、他の国では私がホーヘンベルグといっても無名ですし、誰も私が貴族であることもわからないでしょう。けれどもどこへ行っても、何をしていても、警官が市民のお手本であるべきのように、私たちは、他の人たちのお手本でなければならない立場であると常に、考えています」
「自分がやるべきは、若い人たちに文化や、歴史を伝えていくこと。それが私の、仕事だと思って生きています」
「そして私たちは皆、色々な架け橋になっていけるのです、例えば、“文化の懸け橋”などに」「そのかけ橋として、私はずっと、それらを伝えるという“種”を蒔いてきました。そしてこれからも、未来に向って蒔いていきましょう!」
プリンセスがおっしゃることは、いわゆる“ノブレス・オブリージュ※”と言われることなのでしょう。それは決して、マスコミに登場するような派手な活動でも、お金や物など目に見える形でもありませんが、熱く語ってくださるプリンセスの、信念、また使命感に、私は圧倒されると同時に感動すら覚えました。そして、私たちは例えプリンセスではなくとも、一人一人がそれぞれの“使命”を持って生きていける、いかなければと、思ったのでした。
※ノブレス・オブリージュ=身分・地位の高い人びとにはそれに伴う社会に対する責任・義務があるということ