実にバブリーな??表彰式…アジアカップ・ファイナル
2011.01.30
テレビ朝日で観戦していた方々は、表彰式が見られずに放送終了となったそうで。NHK-BSでは表彰式の最後まで、日本チームのウイニングウォーク??(スタジアム1周シーン)まで全部見られましたよ。
それにしても、表彰式の進行が実にまったり(そもそも表彰式が始まるまでが長~い!!待たせる待たせる)…プレゼンターもゆったりゆったりお出まし…あれが中東スタンダードなんですかね。その後のバブリーな紙吹雪に、見たこともないくらい延々と打ち上げられる花火…成金的というか、本当にお金余ってんですね、って雰囲気だ。
でもって、表彰式が終わったのは試合終了からほぼ1時間後。優勝した方も準優勝チームの方も、選手たちがずっと立ちっぱなしでかわいそう。しかも延長120分戦った後なのに。
日本チーム、優勝おめでとう。ありがとう。
オーストラリアの優勝を阻んでくれて、本当にありがとう。
4回めの優勝は史上最多となったが(3回優勝はイランとサウジアラビア)1990年代からの20年間で、6回の大会のうち4度の優勝。これは圧倒的に凄い。初優勝したのが1992年で、それからもう最多優勝回数を記録したのだから。この20年間の日本フットボールの進化は何がどうあれ、素晴らしいとしか言い様がないだろう。中東諸国も中国も、いろんなコメントや情報を見るに、そんな日本のフットボールを称賛してくれているし、好意的なようだ。アジアの中で一番面白いフットボールと言ってくれたりしている(中国では「アジアのバルセロナと称されるまでになった」とかまで…やはり中盤をアジア最強と。細やかな技術と多彩なパスワークと賞賛されている)ようだし。
中国は論評はとてもまともで冷静で分析的できちんと認めて評価や賞賛するんだが、ピッチでフットボールで見せるものはどうしてアレなんだろう、、、そこは謎だ。
決勝ゴルとなった李忠成のボレーは素晴らしい。サッカー少年たちがマネしそうだ。
もちろん長友のクロスと、長友に縦突破する時間とタイミングを与えた遠藤のサポートも素晴らしい。
李のボレーだが、ワントラップしてもよかったかもしれない。それくらい、どフリーだった。ダイレクトボレーは非常に難易度が高く、ゴールマウスを外してしまう危険性がある。それを勇気をもって打ちに行き(長友のクロスも丁度よいスピードがあって、高さも軌道もダイレクトボレーにおあつらえ向きだったと思うが)見事にゴールネットに突き刺したのだから、本当に素晴らしい。
どうしてあんなにフリーになっていたのか(オーストラリアのディフェンダーが何故あんなに李を離してしまったのか)疑問を呈する向きもあるようだが、李がプルアウェイの動きをしてます。それと、李と交替で退いた前田遼一が繰り返してきていたゴール前での動きに幻惑(刷り込み)されたのもあるんじゃないだろうか。
後半途中に藤本淳吾に替えて岩政を起用し、今野を左サイドバックにスライドさせて長友を1列上げた(前へ出した)ザッケローニ監督の采配は私らが考えつかないもので、見事だったとしか言い様がない。どう見ても藤本を替えて変化を出したかったが、柏木を使うしかないんじゃないか…などと私は思っていた。そのまま藤本の位置に入れるかどうかは別として。最終ラインで今野は危なっかしかったが、ザッケローニはそこに岩政を入れたかったのだろう。でもそこで3バック(左右のウイングバックも含めれば5バック)にはせず、4バックのフォーメーションのままで長友を1列上げたシステム変更の采配はちょっと凄いと思う。この試合では日本の中盤の前への推進力が出ていなかったから…そこに長友の馬力を注入すると。
事実、その後すぐに長友は縦突破から岡崎にクロスを合わせ、岡崎のヘッドがわずかにポストをそれていったシーンが生まれた。あれはなぁ…決まって欲しかったなぁ。韓国戦の前半、遠藤が本田圭佑にクサビを入れ、本田が戻し、遠藤が再び今度は長友に縦パスを入れたダブルパスのシーンも、長友のクロスに岡崎のヘッドがポストを叩いたが、あれと同じような見事な崩しだったんだけどな。これを決めてくれてれば、岡崎もエースなんだが。
ところでその采配だが、試合後の長友のインタビューによると、当初ザッケローニは今野をアンカー(中盤底)に動かそうとしてたんだってね。その意図もわかる気がする。でもそこを選手たちと話し合って、あのようなシステムに舵を切ったんだそうだ。
その後も前田遼一に替えて起用した李忠成が決勝ゴールと、ザッケローニ監督の采配はズバリで、これはこたえられないだろうな。最後に残り時間少ないところで、右サイドバックの内田篤人を伊野波に替えたのも実に的確。あれより早く替えることはできない。ゴールキーパーが負傷することもありうるから。もし3枚の交替枠を使い切ってからゴールキーパーが負傷しても、もう選手を投入することはできない。フィールドプレイヤーの誰かが臨時キーパーをやんないといけない。PK戦の可能性もあったのだし。
ゴールキーパーの川島には、セミファイナルの前に西川でいいんじゃないか、などと書いたことを謝ります。セミファイナルのPK戦も凄かったが、この試合でも川島のファインセーブに救われた。特に2度にわたるキューエルとの1対1を(まるで)難なく防いでみせたのは秀逸。あのキューエルだよ。衰えたとは言え、慢性的にケガ持ちとは言え、プレミアで張っていたキューエルだよ。そんな相手に憶することもないどころか、キューエルの方が川島に睨まれたナントカみたいだった。
ぶっちゃけ全然いい試合ではなかった。今の日本チームからすると最低レベルの試合。それでもこんな展開でも、それも延長後半に、シュウォーツァ(オーストラリアのゴールキーパー)の立ち塞がる鉄壁のゴールマウスをこじ開けて勝利をおさめるなんて、素晴らしい。逞しくなったよね。ずっと見続けてきて幸せを感じる瞬間。
世間のフットボールへの関心も、10年前には考えられないくらい変化してきた。アンチサッカーの人たちも、もはや露骨に無視したり軽視する態度をとれなくなってきたし。
やはり昨年、(サッカーを葬り去ろうとする旧来メディアの)逆風をものともしなかった2010年のワールドカップが大きな転機だったか。
そんな風に時代は移り変わっていき(文化や風土の変革も少しずつもたらしながら)日本のフットボールは本当に世界中を相手に、前へ前へ進み向上し進化していこうとするだけ。
そうそう、ドイツのケルンに移籍した(負傷で日本代表チームを離れてケルン合流が前倒しになった)槙野が、日本チームの奮闘と同時刻にスタメン初出場を果たし、試合は負けたけれども90分フルタイム出場。同じ日、オランダのフィテッセに移籍した安田が、見事なグラウンダーのクロスでアシストを決めた映像も見た。こうして、世界のあちこちで常にフットボールシーンは動き続けている。
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