まるでピルロみたいだった遠藤。

昨夜のワールドカップ最終予選の2戦め、ヨルダン戦。特に前半の遠藤のパフォーマンスとパスは、まるでピルロじゃん、って思わず口にしてしまうデキだった。いやシャビみたいだ、っていう人もいたけど。

相手ディフェンスラインの背後、ゴールキーパーの前へ落とす絶妙な浮き玉を連発。先日のオマーン戦ではダメ出しみたいなコメントをして失礼しました、と言うしかない。

思わぬ大差とゴールラッシュに、ヨルダンが弱いと思った人もいるかもしれないし(フットボール・フリークにはいないだろうけど)前半のうちに相手が1人退場になったのがラッキーと思っている人もいるかもしれない。全然そうじゃない。明らかにオマーンよりも手強いし、この試合に向けた監督の戦略も感じられていたし、体格の大きい、プレスも速い、球際も厳しい相手だった。遠藤の浮き球で抜け出してフリーだった岡崎がゴールを決め損ねて、さらにわずか15分程度の間にコーナーキックが5本も6本もあったのにゴールを奪えず、若干嫌な感じもしなくはなかったが、そこを日本チームが圧倒的な攻撃力でもって粉砕したということ。18分に6本めのコーナーキックから先制、その直後の21分に追加点とくれば、言うことない。ヨルダンにしてみれば、あれだけ準備して試合に入ったのに、20分で2点も奪われればガックリ来る。それがその後の短時間でのイエロー2枚→レッドカード、退場に繋がったと見るべき。
あと、見た目には細かくてわかり辛いというか、ほとんど気づかれないような部分での日本選手たちの技術・テクニックの高さがたいへん目を引いた。

4-0で折り返した後半立ち上がり、ヨルダンが出てきて、それに対してズルズル下がってしまいシュートも連発させてしまってオイオイという感じで危ない雰囲気に。
多くの人が思い出しただろう、ワールドカップ初出場をめざした(めざした、というよりも至上命題だった)1997年9月7日のウズベキスタン戦(アジア最終予選の初戦)のこと。あの試合も前半で4-0にして、後半立ち上がりから相手が出てきた。あの試合は後半に(こちらも2点を追加したが)3点も奪われ、6-3という派手な、というより摩訶不思議な結末となったのであった。前半で4失点もした方からすれば、この試合はもう負けの確率が高いけど戦意喪失なんてしてらんないわけで…負けるにしても1つでも2つでもゴールを奪い返して得失点差を挽回しておきたいから。それは鉄板のマインドだろ。だから逆に大量失点してしまったからこそハーフタイムで入れ直して(追加点を恐れず)ガンガン来る。それに合わせるような形というか、ちょっとフワぁっと入ってしまったかもしれない。その後、押し返した最初のアタッキングでPKを奪って(あれは文句ないPK)追加点を奪ったのが大きかった。

5-0になっている試合終盤、さらにゴール(追加点)を求めるコールがスタジアムに響いていたが、サポーターの気持ちはわかるが、それと得失点差をさらに稼ごうという意味もあるというのもわかるが、いいんだよ、次もすぐあるし、ケガも回避しないといけない。消耗しないでクローズする、時間を進めるということで。

吉田麻也のケガと今野の累積警告の警戒でもって、センターバック2枚とも途中で替えたのだが、誰が見ても心もとないな。特にラインが下がり過ぎだし、吉田麻也がやってくれているように出足速い潰しが全くなくなってしまった。その上に、最終ラインを崩す(1人だけ下がりたくて仕方ない)選手がいた。吉田麻也はおそらく長引きそうで、12日のオーストラリア戦は出場不可能。以前ほど大したことはない相手とは言え、これでは非常に不安だな。不安というのは、失点リスクもあるが、日本チームのビルドアップの部分がかなり削がれるということ。
中盤底で高橋秀人を試してくれるかと思ったんだけどね、遠藤に替えて…ザッケローニ監督はそれよりも今野のイエロー累積リスク回避を優先した形だな。

NHK-BS中継での宮本恒靖氏と福西崇史氏のダブル解説はいい。4+4のブロックを敷いてバイタルを狭めてきたヨルダンの守備網に対して、苦労するかなと思って観ていたこちらだが、ディフェンスラインにギャップが出る傾向にあるとピシャっと指摘。そのとおりにゴールマウスをこじ開けた。民放も起用したらどうだ。日本にしては格調高いフットボールの解説・コメントが聞けるぞ。
地上波で中継していたテレビ朝日は、最近書かせていただいているように随分中継ワークがよくなったのだが、リプレイの入れ方はイングランド・プレミア中継仕込み(試合が止まった時にさかのぼったシーンを幾つものアングルで入れる手法)のNHK(NHK-BS)の足元にも及ばない。ハーフタイムでの前半ハイライトも、ゴールシーンを1アングルだけ見せて行くのみ。アナウンサーやタレントの画はいいから(映さなくていいから…声だけでいいだろう)もっと多くの映像を見せなきゃ。まるで、いいところはあんまりお茶の間に提供したくないみたい(?)(あるいは、ちょっとだけチャンネルを合わせた視聴者にはいいところを見せてこれ以上人気が上がらないようにしたいみたい??)だなぁ。

香川はまだ堅いというか、もっとリラックスして欲しい。プレミアでも同じようにデカイ体格でリーチも長くてガチガチ来る連中を相手にしないといけなんだけど、マンチェスター・ユナイテッドに入って大丈夫かと思える。…まぁ、ユナイテッドでは周囲が全然違うわけだが。

6月はあともう1戦。アウェイでのオーストラリア戦。昨夜オーストラリアはオマーンとアウェイで対戦してスコアレスドロー。ま、注文どおりかな。当初から思っていたんだが、オーストラリアにもアウェイであっても勝てるはず。まだキューエルが攻撃の中心だったりすんだよ。

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