クオーターファイナル - アルゼンチンVSドイツ
2010.07.04
この試合、私は自信を持ってドイツ勝ちを周囲にも公言していました。しかしまさか4-0になるとは思っていなかった。3-1もしくは3-0になる可能性はあるな、と。
ボール支配率はアルゼンチン=53%/ドイツ=47%だしシュート数もアルゼンチンの方が多いのだが、アルゼンチンが有機的にドイツのゴールマウスをこじ開けられそうになった回数はごく僅かではないか。ドイツが前半の幾つかあった決定機をモノにしていれば、前半で勝負は決まったほど。それくらい差があった。相手守備網を崩すためには何が有機的で効果的なのか…人数のかけかた、その連動性・有機性、ドリブルの織り交ぜ方等々、ドイツの攻撃は日本チームに大いに参考になるものではないか。決してメチャクチャにスピードがあるわけではない、超絶ドリブルがあるわけでもない、それでもイマジネーションの豊かさと状況判断の速さ・広さ。それから忘れてはならないのは、攻撃に転じていてボールを失ってしまった時の素早い潰しのスキル。単に追っかけてプレッシャーをかけるのではなく、ちゃんと潰す。余計な体力やエネルギーの消耗は極力抑えられている。
話がやや広がってしまうが、日本チームの守備は通用したというのは間違いと常々言っていますが、例えば機会があればこの本をご覧になってみてください。日本人選手の守備スキル、個々人の守備スキルの問題がとても顕わにされています。
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『世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス~イタリア人監督5人が日本代表の7試合を徹底分析~』
本当はこの本はワールドカップ開幕前に紹介したかったんですが、人数をかけて組織的に守ることについては多くの人々の多大な努力と研究で相当進化したかもしれないけど、個々ごとの守備スキルはまだまだ改善の余地があるというか、むしろ育成年代での指導に問題・限界性があることをあらためて痛感させられます。言ってしまえば、指導者側にスキルが欠けているというか。個々ごとの守備スキルとはすなわち守備文化と言ってもよいでしょう。あるいは守備リテラシー? そういうのはプロになってから学ぶものではなく、その前に自然に身についていること。例えば今大会でスペインに勝ったスイスのような守備文化が日本に醸成されるのは、まだまだ遠い話。ヨーロッパ各国や南米各国はそれぞれに戦術以前の守備文化を持っています。日本の守備文化の醸成のためには個々ごとの守備スキルが改善(というか育成年代からの練り込み、リテラシー)が不可欠であり、育成年代の指導に限界性があるのなら、海外のコーチを招いて継続強化すべきではないだろうか。
オシム氏もスカパーのJリーグ中継のハーフタイムのインターミッションで言ってた…ユース年代のコーチは最も優れた指導者があてられるべき、、、と。それが日本では、ユース代表チームは日本人コーチの経験を積む場?? 出世レースのお試めし機会?? になっている。Jリーグのクラブでも元選手の仕事場になっている。
さて、アルゼンチンのメッシだがノーゴールで大会を去ることになってしまった。特に不調とも思わないし、十二分にアルゼンチンの攻撃の核であったことは間違いない。ただアルゼンチン代表ではトップ下で起用されていて、トップ下では通用しないとかそういうことでは全然ないのだが、一番スペースのないエリアで、さらにはトップのイグアインが物凄い脅威ムードのある選手でない中で、非常に窮屈なプレーを強いられていたのは気の毒だった。メッシのようなスーパーな選手はある意味使い方が難しく、バルセロナでもグアルディオラ監督がほぼフォワードで起用することで(トップに起用することもある)スペインリーグ得点王を獲得するほどの活躍を見せたわけで、どのような起用の仕方をするのがチームにとっても有機的なのかは、やはり監督の手腕というか力量に左右されるところも多いかな。キレキレで迎えた今大会なのに、メッシにはちょっと気の毒だった。
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